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「大規模修繕にかかる費用相場はいくら?」
マンションの大規模修繕工事は、規模が大きいだけに費用も大きくなります。
しかし、報道などでも報じられている通り、修繕工事の原資である修繕積立金が計画よりも不足しているマンションが多いことが分かります。
そのため、費用面で不安に感じていらっしゃるオーナー様も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、大規模修繕の費用について、国土交通省のデータを参考にしながら、建物のプロであるアパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
大規模修繕工事にかかる費用はいくら?工事内容は?
大規模修繕工事は、建物の経年による劣化を修繕し、資産価値を守るために重要なものです。
とは言え、どのくらいの費用になるのか、気になる方もおおいのではないでしょうか。
大規模修繕工事の費用の総額は、マンションやビルなど建物の規模や修繕内容によっても大きく異なることになります。
そこで、2017年5月から7月にかけて国土交通省によって実施された「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(国土交通省)」をもとにして、費用相場についてご紹介していきましょう。
大規模修繕工事の費用
回数 | 工事費用の平均値 | ㎡あたりの平均金額 |
1回目 | 100.0万円/戸 | 13,095.9円/㎡ |
2回目 | 97.9万円/戸 | 14,634.9円/㎡ |
3回目 | 80.9万円/戸 | 11,931.0円/㎡ |
1回目の大規模修繕工事において、一戸あたりの工事金額でもっとも多いのは『75万円~100万円』で32.7%、次いで多いものは『100万円~125万円』で31.3%となっています。
平均値としては、一戸あたり100.0万円となっており、㎡あたりの平均金額は13,095.9円となっています。
このようなことから費用の目安は、20戸のマンションであれば約2000万円、100戸のマンションであれば約1億円であると言えます。
2回目の大規模修繕工事では、一戸あたりの工事金額でもっとも多いのは『75万円~100万円』で33.8%、次いで多いものは『100万円~125万円』で19.4%となっています。
平均値としては、一戸あたり97.9万円となっており、㎡あたりの平均金額は14,634.9円となっています。
3回目の大規模修繕工事においては、一戸あたりの工事金額でもっとも多いのは『50万円~75万円』で24.6%、次いで多いものは『75万円~100万円』で23.0%となっています。
平均値としては、一戸あたり80.9%となっており、㎡あたりの平均金額は11,931.0円となっています。
大規模修繕工事の戸数別での費用
■20戸以下
回数 | 工事費用の割合 |
1回目 | 2000万円~2500万円:34.3%
1500万円~2000万円:22.9% |
2回目 | 1500万円~2000万円:40.0%
500万円~1000万円:15.0% 1000万円~1500万円:15.0% |
3回目 | 500万円~1000万円:25.0%
1000万円~1500万円:25.0% 1500万円~2000万円:25.0% 3500万円~4000万円:25.0% |
■31~50戸以下
回数 | 工事費用の割合 |
1回目 | 4000万円~4500万円:20.9%
3500万円~4000万円:18.6% 4500万円~5000万円:18.6% |
2回目 | 3000万円~3500万円:17.1%
2500万円~3000万円:14.6% |
3回目 | 2000万円~2500万円:15.4%
3500万円~4000万円:15.4% 4000万円~4500万円:15.4% |
■101~150戸以下
回数 | 工事費用の割合 |
1回目 | 10000万円~12500万円:30.0%
12500万円~15000万円:26.7% |
2回目 | 10000万円~12500万円:34.8%
12500万円~15000万円:17.4% |
3回目 | 10000万円~12500万円:17.6%
9500万円~10000万円:11.8% 12500万円~15000万円:11.8% |
戸数別の大規模修繕工事の費用についてもご紹介しましょう。
ここでは一例として、『20戸以下』『31戸~50戸以下』『101戸~150戸以下』の1回目から3回目の費用において、多い割合から記載しています。
おおまかな目安としてご覧いただけるのではないかと思います。
大規模修繕工事の回数と築年数について
回数 | 築年数 | 前回からの年数 |
1回目 | 築13年~16年 | – |
2回目 | 築26年~33年 | 約13年~17年 |
3回目 | 築37年~45年前後 | 約11年~12年前後 |
大規模修繕工事の頻度は、一般的に『12年』と言われることが多いです。
それは、国土交通省が公表している「マンションの改修・建替え等について」の資料に12年周期で行う計画が掲載されている影響があるため、そして建物の劣化症状が10年程度で生じるためであると言えます。
では、実際のデータでは、どの程度の頻度で行われているのか、国土交通省のデータよりご紹介しましょう。
1回目の大規模修繕工事は、『築11年~15年』がもっとも多く64.9%、次いで『築16年~20年』が24.3%となっています。
築年数別に見てみると、『築13年~16年』の割合がもっとも高くなっています。
2回目の大規模修繕工事においては、『築26年~30年』がもっとも多くなっており44.2%、次に『築31年~35年』が多く20.9%となっています。
築年数別に見てみると、『築26年~33年』の割合がもっとも高くなっています。
ということは、1回目の大規模修繕工事から、約13年から17年で工事に取り組まれる割合が高いことが分かります。
3回目の大規模修繕工事では、『築41年以上』がもっとも多く47.7%、次いで『築36年~40年』が多く35.1%となっています。
築年数別では、『築37年~45年前後』の割合がもっとも高いです。
そのようなことから、2回目の大規模修繕工事から、約11年から12年前後で取り組まれていることが分かります。
大規模修繕工事の費用の内訳
回数 | 費用の内訳 |
1回目 | 仮設工事:22.9%
外壁塗装:16.9% 床防水:14.9% 屋根防水:11.8% |
2回目 | 仮設工事:18.9%
外壁塗装:16.5% 床防水:11.0% 屋根防水:10.1% |
3回目 | 外壁塗装:19.6%
仮設工事:17.3% 建具・金物等:11.6% 屋根防水:10.6% 床防水:8.6% |
大規模修繕工事でどの箇所の修繕に取り組まれているのか、割合の多いものからピックアップしてみました。
そもそも大規模修繕が行われる理由として、さまざまな設備が劣化するためであると言えます。
新築時にはすべての設備が新しいものではありますが、5年10年と月日が経過していくうちに汚れが目立つようになり、損傷が生じてきます。
例えば、マンションの屋上や外壁は、常に紫外線や風雨、熱にさらされており、機能の低下やひび割れ、剥がれなどが発生することを避けることはできません。
そのため、劣化した部分に対しては、定期的に行われる大規模修繕工事において修繕していかねばならないのです。
そういう意味においては、上記の割合の高い箇所については、劣化症状が見られやすい箇所であると言えます。
1回目、2回目の大規模修繕工事においては、「外壁塗装」「屋根防水」「床防水」の割合が高いことが分かります。
その他にも、給水設備、外壁タイルなどの修繕も見られます。
3回目になると、上記の他にも「建具・金物」が上位に上がっているのが分かりますが、外部金具と呼ばれるもので、玄関扉や屋外の鉄骨階段、手すり、窓サッシなどになります。
上記の記載にはありませんが、鉄部への塗装なども多くなっています。
大規模修繕工事にかかる費用はどうすればいい?
回数 | 工事費用の平均値 |
1回目 | 100.0万円/戸 |
2回目 | 97.9万円/戸 |
3回目 | 80.9万円/戸 |
上記でもお伝えした通り、大規模修繕工事は国土交通省のデータによりますと、一戸あたりの平均値として約100万円程度の費用が必要となります。
20戸のマンションであれば2000万円、100戸のマンションであれば1億円となる計算です。
とても大きな費用が必要になることから、なんとか低くしたい、できれば避けたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、劣化症状を抑え、資産価値を守るためにも重要なものであると認識しておかねばなりません。
そのため、長期的な計画をもとにして、取り組んでいかねばならないものなのです。
大規模修繕を目的にした「修繕積立金」
マンションの住民は、「管理費」「修繕積立金」を支払うことになりますが、大規模修繕の費用に充てられるものが「修繕積立金」です。
管理費は日常的なメンテナンス費用である、廊下などの共用部分の清掃、貯水槽や排水管などの洗浄などで活用されることになります。
お伝えしている通り、大規模修繕は1戸あたり約100万円が必要になることから、次回の大規模修繕工事までに備えておかねばなりません。
この修繕積立金は住戸の専有面積に応じて費用が決められており、当然ながら広い部屋であればそれだけ積立金額も高くなります。
修繕積立金の費用相場は
少し古いデータなのですが、国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果」に管理費や修繕積立金に関するものが掲載されていますので、ご紹介しましょう。
管理費の全国平均値は15,956円、修繕積立金について12,268円と公表されています。
また、この修繕積立金の金額については、「長期修繕計画で算出された必要額に基づき決めた」と答える割合がもっとも多く72.5%となっています。
長期修繕計画については、25年以上で計画されているものが多く、計画期間が30年以上の割合は60.0%となっています。
大規模修繕工事の費用がアップする可能性
大規模修繕工事の費用には、建築資材や設備、人件費などで構成されていることから、それらの物価が高騰したり、人件費がアップしたりすると、当然ながら全体的な費用にも大きな影響を及ぼします。
また、修繕するタイミングによって劣化の状態がまったく異なりますので、劣化が進行して大がかりになればなるほど費用も高騰すると言えます。
一般的には、1回目の大規模修繕工事が約13年~16年、2回目が約13年~17年、約11年~12年前後が平均的なタイミングとなりますが、定期的な計画の見直しによって適切なタイミングを図ることが重要でしょう。
データによりますと、長期修繕計画の見直し時期を「5年ごと」と定めている割合がもっとも多く56.3%となっています。
修繕積立金の不足はどうすればいい?
国土交通省のデータによれば、積立額が長期修繕計画と比べて不足していると答えているマンションが34.8%にのぼっています。
そのような報道もたびたびされていることから、心配するマンションオーナーも多いようです。
修繕積立金は「均等積立方式」あるいは「段階増額方式」の2種類のいずれかで徴収されています。
「均等積立方式」とは、早い段階で増額し、そこからは長期的に一定金額で徴収する方法のことを言います。
「段階増額方式」とは、段階的に徴収金額を増額していく方法で、現在のマンションではこの方式で徴収されているケースが多くみられます。
なぜ、「段階増額方式」が多く採用されているのかというと、建物の劣化症状は経年によって生じるもので、経過とともに修繕費用も増大することが考えられるからです。
そのため、それを前提とするのであれば、その時期に応じた費用を徴収できる「段階増額方式」が合理的であると言えるのです。
ただし、20年、30年と住み続けていく中で積立額が増えていくのは、住民の老いの観点からすると重くのしかかってくるものになります。
そのため、国土交通省では「均等積立方式」を推奨しています。
築年数が浅い間は、「段階増額方式」よりも割高になりますが、将来的に増額されることがないのであれば、長期的な生活設計にゆとりが持てるものになります。
そのようなことから、「段階増額方式」から「均等積立方式」に切り替えるマンションも増えているようです。
長期修繕計画の見直し時期が来れば、徴収方法の見直しについても検討してもいいのかもしれません。
まとめ
大規模修繕にかかる費用について、国土交通省が公表するさまざまなデータを用いながらご紹介しました。
大規模修繕工事の費用は、一戸あたり約100万円程度が必要となり、20戸のマンションであれば2000万円が、100戸のマンションであれば1億円が必要となる計算です。
そのように考えるととても大きな費用が必要であることが分かり、できる限り低く抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。
ただ、適切な補修や修繕は、建物自体を守ることに繋がり、しかも資産価値を維持していくためにも重要な役割があります。
劣化が進行してから修繕を行うと、それだけ大きな費用が必要になるため、長期的な計画をもとにしてメンテナンスに取り組む必要があるのです。
また、修繕費用は住民から徴収する修繕積立金が原資となりますが、負担が大きくなりすぎないように計画の見直しも重要でしょう。
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