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マンションの大規模修繕工事においては足場が設置されることになり、その費用は工事全体の1割から2割になると言われます。
足場の設置は、マンションの外壁に対する塗装や補修など、効率的に安全に作業を進めるために不可欠なものです。
とは言え、足場設置にかかる費用はマンションの規模にもよりますが数百万円になることも珍しいことではないため、少しでも費用を削減したいと考えるのは当然のことでしょう。
そこでここでは、マンションの大規模修繕工事での足場について、費用相場や費用を抑える方法をはじめ、足場の種類や必要性などについて、建物のプロであるアパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
マンション大規模修繕工事における足場費用の相場
足場の設置費用は『足場架面積 × 平米単価 = 足場費用』といった計算式によって求めることができます。
足場架面積とはどのようなものを指しているのか、平米単価はどのくらいなのか、また実際の費用がどの程度になるのかご紹介していきましょう。
・足場架(あしばかけ)面積
足場架面積とは、足場の外側の面積のことを言い、『(マンションの外周+8m)×高さ=足場架面積』で計算します。
足場はマンションの外壁から少し離して設置するため、マンション外周に8mを足して計算することによって、より近い数値を出すことができます。
例えば、外周が100m、高さが10mのマンションであれば、
(100m+8m)×10m=1,080㎡
が足場架面積になります。
・平米(へいべい)単価
平米単価とは、足場の1㎡あたりの単価のことを言います。
単価は業者によって異なり、また都道府県での基準も違いますが、相場としては1㎡あたり600円~1,200円程度となっています。
また、業者によっては、足場費用に養生シート(飛散防止シート)の設置費用を含んでいる場合もありますので注意しましょう。
養生シートは足場と同時に設置するもので、塗料の飛散を防止することや、作業員の作業道具などの落下を防ぐためのものです。
そのため、相見積もりを取った場合には、養生シートの費用を含んでいるのかどうか、確認してみると良いでしょう。
・足場費用の求め方
計算式は先ほどお伝えした通り、『足場架面積 × 平米単価 = 足場費用』に当てはめて求めていきます。
外周が100m、高さが10mのマンションで、足場費用がどのくらいになるのか計算してみましょう。
1080㎡×600円~1,200円=648,000円~1,296,000円となります。
大規模修繕工事での足場費用を抑える方法
マンションの大規模修繕工事において足場にはさまざまな意味やメリットがあることをご紹介してきましたが、費用については大規模修繕工事の2割程度を占めることが知られています。
そのため、少しでも足場費用を抑えたいと考えることは当然のことでしょう。
そこで足場費用を抑えるポイントとして、4つにまとめてみましたのでご紹介していきましょう。
・複数の業者に相見積もり
上記において足場の費用相場をお伝えしましたが、あくまでも相場であり、業者によって設置費用は異なります。
そのため、相見積もりを取ることによって、実際の費用感を知ることができ、費用を抑えられる可能性があるでしょう。
足場費用は大規模修繕工事全体の費用の2割程度になることもありますが、業者によっては1割程度におさまることもあります。
また、相見積もりを取るメリットとして、足場の費用だけではなく、工事全体の適正価格を掴むためにも役に立ちます。
足場の費用だけにとらわれるのではなく、あくまでトータルコストを考えて、大規模修繕工事に取り組むようにしましょう。
・無足場工法を選択する
無足場工法とは、その字の通りで、足場を組み立てていくものではなく、ロープやゴンドラを活用して作業するという方法になります。
工事費用を抑えるために取り入れられることも多く、近年では無足場工法を積極的に採用している業者も増えつつあります。
ロープを使用する場合には、作業員がフルハーネスと呼ばれる器具を着用し、器具にロープを設置して、屋上から降下して作業箇所で作業を行います。
ゴンドラを活用する場合には、ケージと呼ばれるゴンドラを屋上から吊り下げ、その中に作業員が乗って作業を行うというものです。
いずれも、足場を組まないので速やかに作業に取り掛かることができ、足場の組めないような狭い場所でも可能で、ピンポイントの作業に適しています。
ただし作業ができない形状の建物もあり、また安全面から風の強い日などには困難な場合もあります。
・管理会社だけに業者選びを任せない
マンションの管理会社だけに大規模修繕工事の施工会社選びを任せていると、修繕費用が高額になってしまう可能性があります。
足場設置だけでも数百万円程度になり、修繕費用全体であれば数千万円になる工事です。
少しでもコストパフォーマンスの良い業者を選ぼうということであれば、管理組合が主体になって、検討してみるのがおすすめです。
マンション大規模修繕工事における足場の必要性
マンションの大規模修繕工事においては、足場を設置したうえで、外壁の塗装や修繕など外観に関する工事が行われます。
もちろんマンション自体がとても大きいため、工事をする際に足場が必要なことはよく理解できるとは思いますが、それ以外にもさまざまな意味があります。
特に次に掲げる3つの必要性があるのです。
・作業を効率化させる
足場を設置すると、外壁に対する修繕工事を行う際に、高所など隅々にまで移動することができるようになります。
例えば、外壁に塗装するような場合、安定した足場がないとしたら、綺麗に仕上げることが難しいでしょう。
細かな作業であるとしても、手元に集中することができますので、工事をスムーズに進めることができます。
何人もの作業員が同時に工事を進めることができますので、作業の効率化に繋がり、工期も短くて済み、無駄な費用を出費する必要がなくなります。
・安心安全に工事が進められる
マンションの外壁に対する工事の場合、高所であっても作業員が安心して工事を進めることができ、さらに安全を確保したうえで行われなければなりません。
マンションの大規模修繕工事においては、建物の上下を何度も移動しなければならないようなことがありますが、足場を設置していれば安定していますので転落などの事故を防ぐことができます。
もちろん作業員や関係者だけではなく、マンションの住民にとっても、工事中は安心安全に過ごすことができなくてはいけません。
上から作業道具などが落下するようなことを防ぐためにも、足場には重要な意味があるのです。
・近隣住民や通行人に対するトラブルや事故を防ぐ
足場の設置と同時に養生シート(飛散防止シート)も設置することになりますので、塗料の飛散や作業道具の落下など、近隣や通行人に対するトラブルや事故を防ぐことにも繋がります。
特にこの養生シート(飛散防止シート)の設置は、トラブルや事故を防ぐためには重要であり、足場があってはじめて設置できるものです。
そのようなことから、作業員だけではなく、近隣住民や通行人の安心安全を守るために重要なものであると言えるでしょう。
大規模修繕工事で活用される足場の種類
マンションの大規模修繕工事において足場設置は、工事を始める際にまず取り掛かるものになります。
足場の種類にはさまざまなものがあり、マンションの戸数や形状などによって、適した足場が採用されることになり、大規模修繕工事が終了すれば解体されます。
足場にはどのような種類があるのか、ご紹介していきましょう。
・枠組足場
マンションの大規模修繕工事において、よく見かけることのできる足場です。
部材が枠の形に溶接されているのが特徴で、強度が高いうえに、組み立てがとてもスムーズに進められるといったメリットがあります。
また、作業員の足場部分は60センチほどあるため、安心して作業が進められます。
ただ、部材の仮置きの場が必要となるため、大きな敷地が必要となります。
・くさび緊結式足場
枠組み足場とともに、大規模修繕工事の足場としてよく活用されるものです。
さまざまなサイズの支柱や部材を組み合わせていく足場であり、自由度がとても高いため、複雑な形状や狭い敷地のマンションでも対応することができます。
ただ、設置する際にはハンマーで叩きながら組み立てていくことから、作業音が大きいデメリットがあります。
・単管足場
単管と呼ばれる鉄パイプを組み合わせて設置する足場のことであり、足場の中でももっとも歴史があるものとなっています。
その昔の土木現場などでは丸太を紐によって足場が作られていましたが、それがそのまま単管と単管を繋ぐクランプと呼ばれる金具になったというイメージです。
とてもシンプルな構造であるがゆえに、柔軟に足場の形状を変化させることができ、また狭いスペースでも利用できるメリットがあります。
ただ、組み立てに時間がかかり、ほかの足場と比較すると安全面に課題のある足場と言えます。
・移動式足場
足場の設置が難しいマンションにおいては手で押して移動できるような足場や、移動昇降式足場が活用されることがあります。
移動昇降式足場は、作業スペースが昇降マストと呼ばれるレールで上下に移動するもので、マンションを足場で囲うようなことがないため、景観を損なわないメリットがあります。
・吊り足場
上から吊ることによって組み立てていく足場のことで、足場板を鉄パイプやチェーンなどで吊り下げていきます。
主に、道路や橋などで利用されることが多いですが、足場を設置するのが困難な高層マンションでの大規模修繕工事でも設置されることがあります。
地面との接点がないので不安定になりやすいため、設置する際には経験や技術力が必要となります。
大規模修繕工事での足場設置・解体の期間
マンションにおいて足場を設置する場合、作業のための資材置き場や作業員の詰め所などの設置も含めると、マンションの規模によっては10日以上必要になることもあります。
大規模修繕工事自体は、50戸程度の小規模なマンションでは2か月から3か月程度、それ以上の中規模から大規模のマンションであれば3か月以上の工事期間となります。
足場の設置については小規模なマンションでは10日から2週間程度、中規模から大規模以上のマンションであれば2週間以上を要することもあります。
また、解体に要する期間は、小規模なマンションでは3日から1週間程度、中規模から大規模以上のマンションであれば5日から10日程度が目安となります。
足場設置にみられるトラブル
マンションの大規模修繕工事において足場を設置することは欠かせないものではありますが、設置するうえでトラブルが生じてしまうケースがあります。
どのようなトラブルが生じる可能性があるのか把握しておき、事前にどのような影響があるのか伝えておくようにしましょう。
・騒音
足場の設置や解体には、足場の資材をトラックから降ろし、足場の種類によってはハンマーで叩きながら組み立てていくようなことがあります。
足場は金属でできているため、どうしても組み立ての際に大きな音が発生してしまい、近隣からクレームが来るようなことも考えられます。
・日当たり・風通し
マンションの大規模修繕工事の際には、建物の外周に足場を設置し、養生シートによって覆ってしまうために、どうしても日当たりや風通しが悪くなってしまいます。
そのため、部屋の中がかなり暗くなったという方や、風通しが悪くなって不快に感じられる方がいらっしゃいます。
・不審者
足場を設置すると、容易に上階に上ることができるようになりますので、防犯には十分注意しなければなりません。
そのため、大規模修繕工事によって足場が設置される前には、お住いの住民に対して、しっかりと注意喚起しておく必要があります。
まとめ
マンションの大規模修繕工事での足場の費用についてお伝えし、足場の種類や必要性などについて、詳しくご紹介しました。
マンションの外壁に対する塗装や補修などにおいて、効率的に、また安心安全に作業を進めるために足場設置は不可欠です。
しかし、大規模修繕工事全体の費用の中で、足場設置にかかる費用の割合は2割程度になる業者も存在しますので、無視できない存在であることは間違いありません。
そのため、足場だけではなく、大規模修繕工事の費用全体でコストパフォーマンスの高い施工会社を選ぶことが重要になります。
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