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大規模修繕の費用にお困りのマンション管理組合は少なくありません。
そこでご紹介したいのが、国や自治体が行っている助成金・補助金。
要件を満たしている場合に、工事費用の一部や全額、あるいは相談や支援を受けられるといった、とてもお得な制度なのです。
ただ、助成金・補助金といっても、どのように活用すれば良いのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、大規模修繕に活用できるお得な助成金・補助金制度について、建物のプロであるアパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
大規模修繕の助成金・補助金とは
大規模修繕においては、助成金・補助金を活用することができ、基本的に返済義務はありませんから、活用しておくべきでしょう。
大規模修繕の助成金・補助金とはどのようなものなのか詳しくお伝えしましょう。
・助成金・補助金とは
助成金・補助金とは、国や市町村、あるいは民間団体が行っている制度であり、一定の要件を満たす場合に費用の一部、もしくは全額を支給する制度のことを指しています。
国や市町村が実施している助成金・補助金の場合、その財源は公的なものとなっていることから、申請を行い厳格な審査を経て、受給されることになります。
審査を通過するには、定められている要件を満たしておく必要があり、また所定の手続きが必要となりますので、必ずしも受給できるものではありません。
ちなみに助成金と補助金の違いは、『助成金』については要件を満たせば受給できるもので、『補助金』は件数や金額があらかじめ決まっているもので、それらに達すれば終了となります。
いずれにおいても、基本的には返済義務はありません。
さまざまな助成金・補助金が存在し、マンションの大規模修繕に活用できるものもたくさんあります。
・大規模修繕工事に活用できる助成金・補助金の活用方法
マンションの管理組合の多くは、大規模修繕の資金不足で悩んでいます。
積立金よりもはるかに修繕費用が高くつくことが分かり、どうするべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そのような資金不足に対して、適切な施工業者を選定することや、修繕工事内容や工法の見直しなどは重要ですが、助成金・補助金の活用も検討しておくと良いでしょう。
次の章から、どのような助成金・補助金があるのかご紹介いたします。
ただし、助成金・補助金は各自治体によって異なりますので、まずはお住いの自治体のホームページを閲覧し、どのようなものがあるのか調べておきましょう。
また、施工業者は助成金・補助金制度について熟知していますので、相談してみることもおすすめです。
大規模修繕に活用できるお得な助成金・補助金制度を徹底解説!
大規模修繕工事に活用できる助成金・補助金は、各自治体においてさまざまな取り組みがあります。
下記に東京都や神奈川県で実施されている助成金・補助金をいくつかピックアップしてみました。
みなさんのお住いの地域にも、同じような助成金・補助金がないか確認してみてください。
・マンション耐震改修
国土交通省が行っている『住宅・建物耐震改修等事業』として、地震などによる倒壊などの被害が生じないよう、国が地方公共団体に耐震性能の向上に対する助成を行っています。
助成内容として
- 耐震改修に対する補助
- 耐震診断に対する補助
- 計画策定に対する補助
となっています。
『耐震改修に対する補助』としては、要件を満たしたマンションに対して、耐震改修費用の一部を補助しています。
- 緊急輸送道路沿道のマンション:耐震改修費用の2/3(国1/3、市町村など1/3)
- 避難路沿道のマンション:1/3(国1/6、市町村など1/6)
- その他一定要件を満たすマンション:耐震改修費用の15.2%(国7.6%、市町村など7.6%)
『耐震診断に対する補助』は、マンションの耐震診断に要する費用を助成しています。補助率は管理組合が実施する場合に、
- 耐震診断費用の2/3(国1/3、市町村など1/3)
『計画策定に対する補助』は、耐震改修に対する事業計画作成費や地盤調査費、建築設計費に対する補助になります。補助率は、
- 耐震診断費用の2/3(国1/3、市町村など1/3)
となっています。
・マンション計画修繕支援
マンションの大規模修繕を行おうとしているマンションの管理組合に対して、その業務に必要な費用の一部を補助しています。
神奈川県横浜市であれば『マンション再生支援事業』として取り組んでいます。
助成内容としては、
- マンションの大規模修繕に関する検討
- マンションの建替えに関する検討
- 長期管理計画に関する検討
- 住環境整備に関する検討
などとなっています。
補助の内容として、横浜市内にあるマンション管理組合が行うマンション再生活動に対して、
- 検討活動費用の1/2、かつ30万円以内(複数のマンション管理組合の場合には60万円)
- 追加して省エネルギー化に関する検討を行う場合、検討活動費用の1/2、かつ15万円以内(複数のマンション管理組合の場合には30万円)
が補助されることになります。
参考『横浜市:マンション再生支援事業』
・マンション専門家派遣
マンション管理組合の運営活動や大規模改修に関することなど、マンション専門家を現地に派遣して相談や支援を受けることができます。
神奈川県川崎市では川崎市まちづくり公社が行っている『マンション・住宅に関する相談』、横浜市であれば『マンション管理組合支援事業』などが該当します。
マンションに関することで言えば、
- 管理組合活動活性化支援
- マンションアドバイザー派遣支援
を受けることができます。
『管理組合活動活性化支援』であれば、管理組合の組織化の方法から管理規定の改正、総会や理事会の開催、修繕積立金、長期修繕計画などについて相談できます。
『マンションアドバイザー派遣支援』では、該当するマンション管理組合などにマンション専門家を派遣し、マンションの維持管理や修繕、建替などの支援を行います。
川崎市まちづくり公社の『マンション・住宅に関する相談』では、窓口や電話相談をはじめ、現地相談を予約制で受付されています。
『川崎市マンション管理組合登録・支援制度』に登録されているマンション管理組合に対して現地相談が必要だと判断された場合には、年3回アドバイザーが派遣されることになります。
参考『横浜市:マンション管理組合支援事業』『川崎市:コンサルタント派遣事業』
・アスベスト対策
天然の鉱物繊維であるアスベスト(石綿)は、熱や摩耗に強いため多くのマンションに活用されてきましたが、吸入すると肺の中に残留し、肺がんや悪性中皮腫などのリスクがあります。
そのため、マンションに施工されている吹付けアスベストについて、無料の含有調査や除去などの工事に要する費用の補助を行っています。
神奈川県横浜市では『横浜市民間建築物吹付けアスベスト対策事業』として取り組まれています。
事業の内容として、
- 吹付けアスベストの含有調査
- 吹付けアスベストの除去工事に要する費用の補助
を行っています。
マンションにおいては、共用部分や機械室などが対象となっています。
対象となっている対策工事は、
- 除去工事:吹付けアスベストを下地から取り除く
- 封じ込め工法:吹付けアスベストに薬剤を含浸させて飛散を防止する
補助においては、
- 吹付けアスベストの含有調査:無料
- 吹付けアスベストの除去工事に要する費用の補助:費用の2/3(上限300万円)
といったものになっています。
・マンション段差解消工事
既存マンションの敷地内通路や外部で切り口、廊下、階段などの段差を解消するために、新規にスロープ(傾斜路)や手すりなどの段差解消工事などを実施する場合に、工事費用の一部について助成を受けられます。
神奈川県川崎市においては『川崎市マンション段差解消工事等費用助成制度』として、年度の一定期間において受付が行われています。(令和4年度においては4月1日から9月30日まで)
助成内容としてスロープ(傾斜路)は、
- 有効幅員120cm以上
- 勾配1/12以下
- 高低差75cmを越える場合は75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊場を設置する
- 高低差が30cm以上の場合は手すりを設置する
手すりは、
- 1段の場合:床仕上げ面から75cm以上85cm程度
- 2段の場合:下段を60cmから65cm程度に
- 住戸の出入りに使用しない場所の場合には助成対象外
などといった諸条件があります。
対象となるマンションは、
- 鉄筋コンクリート造
- 住宅の戸数が6以上
- 管理組合の総会、段差解消工事の実施に対して決議されていること
などと定められています。
助成額については、
- 段差解消工事等に要する費用の1/3
となっています。
・マンション共用部分の改修・防災対策整備
築20年以上が経過しているようなマンションの場合、適切な維持管理や防災対策が必要となります。
マンションの住民が安心安全に暮らせるように、共用部分の修繕工事や災害の防止を目的とした工事に対して、その費用の一部を助成しています。
東京都中央区においては、『分譲マンション共用部分改修費用助成』として取り組まれています。
事業の対象としては、
- 築20年以上のマンションの共用部分
- 壁面の改修や鉄部の塗装、防水工事など
- 受水槽・高架水槽の耐震型への取替えなど防災対策工事
などとなっています。
助成額は、
- 設計費用の2/3(10年間で100万円を限度)
- 助成対象工事費の10%の2/3(10年間で1000万円を限度)
と定められています。
・マンション防音工事
マンションではたびたび自動車による騒音によりトラブルとなりますが、「幹線道路の沿道の整備に関する法律」によって、防音構造に関する条例が定められている場合には、条件を満たす防音工事に対して、その工事費の一部が助成されます。
東京都においては、沿道整備道路として『環状七号線』『環状八号線』『中原街道』 『笹目通り』が定められており、『防音工事助成制度』として取り組まれています。
事業の対象としては、
- 「防音構造に関する条例」の適用区域内に建っているマンション
- 夜間65デシベル以上、または昼間70デシベル以上の騒音がある
工事内容としては、
- 「防音構造に関する条例」に適合する工事
助成額については、
- 東京都が審査した工事費用の3/4
となっています。
参考『東京都建設局:防音工事助成』
・省エネルギー改修
マンションの共用部分に対して、省エネルギー対策を講じる場合に、費用の一部を助成します。
東京都千代田区においては、『千代田区省エネルギー改修等助成制度』として、マンションをはじめとして、戸建て住宅においても助成を行っています。
マンションの共用部分においては、
- LED照明
- 空調
- 太陽光発電システム
- 蓄電システム
が助成の対象となっています。
助成内容は、
- LED照明:対象経費の30%
- 空調・太陽光発電システム・蓄電システム:対象経費の20%
となっており、上限額として、
- ~100戸:150万円
- 101~200戸:300万円
- 201戸~:450万円
と定められています。
・マンション屋上緑化
市街地などでは屋上を利用して、緑地を増やす取り組みが行われているのは、みなさんもご存知ではないでしょうか。
屋上に防水を施すことによって、土壌や芝生を育成し、緑化させることが可能になります。
神奈川県川崎市では『屋上緑化・壁面緑化推進事業』として、屋上緑化に必要となる経費の一部を助成しています。
事業の内容として、
- 建物の屋上・壁面を利用した緑化の経費の一部を助成
- 生垣づくりの経費の一部を助成
また、花と緑のまちづくり講座や鉢植え講習会なども実施されています。
助成の内容として、
- 屋上を3㎡以上緑化する場合:経費の1/2(1㎡あたり1万円以内、総額100万円以内)
- 壁面を緑化する場合:幅5m以上、または3㎡以上緑化する経費の1/2(1㎡あたり1万円以内、総額100万円以内)
- 5m以上の生垣を新設する場合:経費の1/2(1㎡あたり5,000円以内)
- 既存ブロック塀を撤去して生垣にする場合:撤去費用の1/2(1㎡あたり5,000円以内)
と定められています。
まとめ
マンション・アパートの大規模修繕工事に活用できる助成金・補助金について詳しくお伝えしました。
助成金・補助金は、国や自治体が行っている制度であり、一定の要件を満たしている場合に経費の全額や一部を受給することや、特定のサービスを受けることができます。
多くのマンションの管理組合においては、大規模修繕の費用について悩んでいるのではないでしょうか。
そのため、助成金・補助金をうまく活用し、適切な修繕工事に取り組むことが大切です。
マンションの大規模修繕工事のことなら、神奈川県川崎市の地元に20年以上密着し、4,000件超の豊富な実績を持っている大規模修繕専門店『アパマン修繕プロ』にご相談ください。
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