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「大規模修繕にあと100万円足りない…」
「修繕の際は手元にある現預金は残しておいた方がいい?」
大規模修繕は10年程度の頻度で行われるもので、劣化による修繕だけではなく、資産価値の維持向上のための修繕が必要であるため、それだけ費用も大きくなります。
そのため、修繕積立金では足りなくなってしまうことや、現預金をすべて使い切ってしまうような事態も珍しくありません。
そのようなことから、金融機関によるローンを活用するケースも増えています。
しかし、金利手数料の支払いが必要になることから、どうしても先々を考えて、ローンの利用には躊躇してしまうという方も少なくないのです。
そこでここでは、マンションやアパートの大規模修繕で活用できるローンを中心に、おすすめできる特徴やメリット・デメリットなどについて、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
大規模修繕で活用できるリフォームローン
金融機関には大規模修繕で活用できるローンが用意されています。
修繕積立金だけでは修繕費用が足りないケースや、想定外に修繕箇所が増えたようなケースで活用されています。
このローンがどのようなものなのか、ご紹介しましょう。
・大規模修繕で活用できるローンとは
大規模修繕では、マンションの規模によっては工事費用が1000万円以上にもなることが珍しくありません。
予期せぬ修繕が必要になった際に、手元の現預金が不足しているという理由で、修繕せずに放置しておくわけにはいかないでしょう。
そこで金融機関において、『リフォームローン』と呼ばれる大規模修繕でも活用できる金融商品が提供されており、活用されるケースも増えています。
また、経営的な観点からみて、手元の現預金を残しておきたいというケースも少なくありません。
賃貸マンションや賃貸アパートの入居率が下がってしまうような場合や、突発的な災害などによって大幅な修繕が求められるような場合です。
資金ショートを防ぐためにも、ローンが活用されるケースも多いのです。
・リフォームローンで活用できる大規模修繕の内容
- 外壁塗装や屋根塗装
- 屋上や屋根、ベランダなどの防水加工
- 給排水管や設備の更新
- 水回り設備の交換
- 賃貸物件内の内装など改修、など
大規模修繕で活用できるローンでは、マンションやアパートのさまざまな修繕に活用することができます。
賃貸マンションや賃貸アパートでは、分譲のように修繕積立金の支払いがないため、家賃の一部を積み立てることになります。
そのため、大規模な修繕が突発的な修繕が必要となった場合に、手元の現預金が十分でないようなケースが考えられます。
また、分譲マンションにおいても、劣化の進行が早く、修繕積立金の範囲内で修繕工事を行うことが難しいようなケースもあるでしょう。
・大規模修繕の資金の準備方法
大規模修繕の修繕資金は、分譲マンションであれば修繕積立金が集められていますが、賃貸マンションや賃貸アパートの場合であれば、家賃収入の一部が積み立てられているケースがほとんどです。
ただ、一定の割合で、積立していないケースも存在します。
そのようなケースで大規模修繕を行う際の費用は、
- ローンを活用する
- 手元の現預金で対応する
というように、ローンを活用するケースも多くなっています。
また、積み立てしているものの、手元の現預金を残しておきたい場合や急な修繕が必要になった場合、修繕箇所が予定よりも多くなった場合などでも、ローンは活用されています。
大規模修繕のローンを紹介(住宅金融支援機構)
金融機関において、さまざまなリフォームローンが提供されていますが、マンションの共用部分の修繕工事に活用できる住宅金融支援機構の商品をご紹介します。
『マンション共用部分リフォーム融資』と呼ばれるもので、
- 共用部分のリフォーム工事
- 耐震改修工事
などの工事費用が対象となっています。
マンションの戸数や規模などは関係なく利用ができ、
- 屋上防水
- 外壁塗装
- バルコニー補修
- 駐車場増設
- 階段・廊下の補修
- オートロック設置
- エレベーター設置
- 内壁塗装
などに活用することができます。
金利は次のように低く設定されています。(※管理組合の申し込みの場合、2022年9月1日現在の金利)
■返済期間が1年以上10年以内の場合
- マンション共用部分リフォーム融資:0.57%~0.77%
- 耐震改修工事、または浸水対策工事を伴う場合:0.37%~0.57%
■返済期間が11年以上20年以内の場合
- マンション共用部分リフォーム融資:1.02%~1.22%
- 耐震改修工事、または浸水対策工事を伴う場合:0.82%~1.02%
分譲マンションの管理組合が申し込む場合の特徴として、全期間で固定金利になっており、申し込みに法人格は必要なく、担保も不要となっています。
耐震改修工事または浸水対策工事を伴う場合には、金利が低くなりますので、うまく活用するといいでしょう。
大規模修繕は現預金かローンか、どちらを活用すべき?
賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーであれば、分譲マンションのように居住者から修繕積立金を徴収していないために、毎月の家賃の一部を積み立てて修繕費用に充てるケースがほとんどです。
ただ、大規模修繕となると、かなり大がかりな工事になるため、修繕費用もそれだけ高くなる傾向があります。
マンションの規模によっては、1000万円を超えるような工事も珍しくありません。
もちろん、十分な現預金がある場合には、それを修繕費に充当することができますが、今後の修繕費用、あるいは税金などの支払いのために、ある程度の手元の現預金を残しておくべきでしょう。
・ローンを活用した方がいいケース
賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーの中には、相続税対策をお考えの方も多いのではないでしょうか。
賃貸業は相続税対策として有効であると言われていることから、ローンを活用するケースが多くなっています。
大規模修繕するためには工事費用を支出しなければなりませんが、その工事費用をローンによって調達した場合には、借入金によってマイナスが生じるため、相続財産の額も減少させることができるのです。
仮に、マンションやアパートの大規模修繕をしないまま相続した場合には、建物を相続したにもかかわらず、修繕費用は持ち出しになってしまうことになります。
しかし、修繕によって建物の維持管理、設備の更新などに取り組んでおくと、将来的な相続の際には大きな修繕が必要のない状態で取得することができるメリットがあります。
・手元の現預金を活用した方がいいケース
大規模修繕の費用を支払ってもなお、手元の現預金が十分に残るというケースであれば、融資を受ける必要はないでしょう。
分譲マンションの場合、毎月の修繕積立金の積み立ての範囲内で工事内容を計画すればいいですし、また賃貸マンションにおいても家賃収入の一部を積み立てておくことで問題ありません。
特にローンを活用した場合には、修繕後に返済が始まることになり、今後の積み立ての中から返済していくことになりますから、将来的な修繕費用の支払いがさらに厳しくなってしまうことが予想されます。
常に現預金だけで対応するという形にしておき、予期せぬ修繕なども想定しておけば、健全な経営に繋げることが可能になります。
大規模修繕にローンを活用するメリット
大規模修繕にローンを活用する際には、メリット・デメリットの双方を十分に把握することが大切になります。
ここでは、どのようなメリットがあるのか、詳しくご紹介しましょう。
・必要な修繕に取り組むことができる
修繕のために積み立てをしているというケースはとても多いですが、積立金の範囲内ですべての修繕、あるいは資産価値の維持向上が図れないことが珍しくありません。
例えば、思うよりも早く多くの箇所に劣化症状や修繕が必要な状況である場合であっても、費用面の状況から必要最低限の工事だけに留まってしまうことがあります。
劣化や破損個所の修繕だけで、資産価値を向上させるような工事にまで着手できないということも少なくないのです。
しかし、ローンを利用することによって、速やかに必要な箇所の修繕工事に取り掛かることが可能になります。
・想定外の修繕にも対応できる
マンションの設備は、経年によって劣化が生じ、場合によっては突発的に修繕が必要になるようなケースもあります。
想定していないような破損や劣化の場合、費用の関係から工事が後回しになってしまい、深刻な破損に繋がることや、周りの部分にまで劣化させてしまうようなケースもあります。
そのように工事を後回しにすると、結果的に余計な出費に繋がってしまうことになり、後々の資金繰りが大変になってしまう可能性があります。
ローンを活用しておけば、このような突発的な修繕に対しても、速やかに対応できます。
・手元の現預金を残しておける
修繕のために積み立てをしているとしても、手元の現預金をすべて使い切ってしまいたくないとお考えの方も多いのではないでしょうか。
急な修繕の対応はもちろんのこと、賃貸物件の場合であれば入居率が下がったときのことも考えておかねばなりません。
手元にまとまったお金を置いておくことができれば、そのような事態が生じた際でも安心して乗り越えることができます。
特に、大規模修繕のローン金利は低く設定されていますので、安心して活用することが可能です。
大規模修繕にローンを活用するデメリット
大規模修繕のローンには、デメリットも存在します。
そのため、安易にローンを利用するのではなく、デメリットからの視点もしっかりと検討したうえで、活用に踏み切るのか判断することが大切です。
では、どのようなデメリットがあるのかご紹介しましょう。
・利息の支払いが必要になる
大規模修繕でローンを活用すると、工事終了後から金利を含めた返済がスタートすることになります。
上記でご紹介した住宅金融支援機構であれば、金利は1%前後、他の金融機関を活用したとしても同様の金利となっており、とても少ない負担で活用できるものとなっています。
ただ、長期的に返済していくことになると、どうしても負担は大きくなり、返済額が大きい場合には、今後の修繕にも影響を及ぼす可能性があります。
・修繕積立金の負担が大きくなる
大規模修繕でローンを活用すると、分譲マンションの場合であれば修繕積立金の額が大きくなる可能性があるでしょう。
一度、大きな修繕をしたとしても、修繕箇所がなくなる訳ではありませんし、今回修繕しなかった箇所に対してすぐに対応が必要になるかもしれません。
そのため、当然ながら大規模修繕後も修繕積立金は必要になります。
ただ、同時にローンの返済が必要になりますので、今後の修繕計画も踏まえると修繕積立金の値上げをせざるを得ない状況になってしまうリスクがあります。
しかし、修繕積立金を上げるとなると、居住者からの反発は必死なこともあり、よほど資産価値を高めるような工事でない限り、納得を得ることが難しくなってしまいます。
まとめ
マンションやアパートの大規模修繕で活用できるローンを中心に、おすすめできる特徴や住宅金融支援機構のリフォームローン、メリット・デメリットなどについてご紹介しました。
分譲マンションなら修繕積立金、賃貸マンションであれば家賃の一部から積み立てしているケースが多く、それらの積立金によって大規模修繕が行われます。
しかし、必要な修繕に取り組むためには積立金が足りなくなるケースも多く、また突発的な修繕、思わぬ劣化による修繕箇所の増大などによって費用が不足することは少なくありません。
そのような場合に、住宅金融支援機構のリフォームローンをはじめ、さまざまな金融機関が大規模修繕のためのローン商品を用意しています。
足りない資金を補うことができ、手元に現預金を残しておけるメリットがありますが、その反面で今後の資金繰りが難しくなってしまうケースもあります。
大規模修繕はおおむね10年程度の頻度で行われるために、しっかりと修繕計画を立て、計画に基づいて積み立てしていくことが重要です。
そして、うまくローンを活用しながら、資産価値を高める大規模修繕に取り組むことが大切なのです。
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