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マンションやアパートの大規模修繕工事をスムーズに進めるには、クレームが生じないように対策しておき、生じた際にはすぐさま対処する必要があります。
とは言え、準備期間から工事完了まで、長くなると1年以上にもわたるような取り組みになるため、それだけクレームが生じる可能性も高くなります。
そのため、大規模修繕でどのようなクレームが想定できるのか、あらゆる角度から検討して、対応策を講じておくことが重要なのです。
そこでここでは、大規模修繕のクレームついて焦点を絞り、対処法も踏まえながら、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
大規模修繕のクレームとは?
マンションやアパートの大規模修繕工事は、長期間に及ぶことが多く、費用も高額になりがち、工事内容も多岐に及ぶことから、クレームにはさまざまなものが起こっています。
騒音やニオイなどはもちろんクレームが起きやすいですし、長い期間に足場が設置されていると、カーテンを開けることもできず、ストレスによるクレームも発生します。
そのため、大規模修繕においては、居住者に十分な説明によって、理解と納得をいただいたうえで取り組んでいかねばなりません。
また、そのような取り組みを行ったとしても、過度なクレームによって、計画や工事を妨げられてしまうようなケースもあります。
まずは、具体的にどのようなクレームが起こっているのか、また対策や対処のためにどのように考えていけばいいのかご紹介しましょう。
・大規模修繕に起こりがちなクレーム
工事期間が長くなってしまうと、建物周りに足場を組んだ状態で工事が行われることから、居住者のストレスも大きくなってしまいます。
毎日、朝から騒音に悩まされるような工事が続くと、どれだけ必要な修繕であるとしても、クレームが発生しても当然のことでしょう。
また、綿密な計画のもとに工事を始めたものの、思わぬ損傷を発見して、追加の工事によって費用がさらに高くなってしまうようなこともあります。
そうなると、それまで積み立ててきた修繕積立金が足りなくなってしまうというトラブルが起きてしまい、修繕積立金が値上げされるようなケースもあります。
足場が設置されているために、日中でもカーテンが開けられない、夜間にベランダから空き巣に入られそうで怖い、といった内容もよくみられる内容です。
大規模修繕工事は、どうしても避けて通れないものであるため、さまざまなリスクを考え、クレームからトラブルに発展しないように取り組んでいくことが重要です。
仮に、クレームやトラブルが大きなものとなってしまうと、計画通りに大規模修繕工事を続けられないこともあるからです。
・大規模修繕のクレームやトラブルの考え方
マンションやアパートの大規模修繕工事でものトラブルについては、過去記事『マンションの大規模修繕でのトラブルの原因や対策まとめ』でもお伝えしている通り、
- 施工前の計画や準備段階に生じる問題
- 工事が始まってから完了するまでに生じる問題
- 工事完了後に生じる問題
と、時間軸で見ると『施工前』『工事期間中』『完了後』に分けることができます。
具体的な内容から生じるクレームを挙げてみると、
■施工前
- 計画よりも多くの費用が必要になり修繕積立金の値上げが必要になった
- 管理組合による大規模修繕の計画や施工業者の選定がまとまらない
- 説明会を説明しても協力が得られない
■施工中
- 騒音や振動、ホコリ、ニオイなど
- 工事内容の追加によって追加の請求があった
- 足場設置の期間が長くなることによるストレス
- 作業員の態度が悪いなど
- 近隣住民からのクレーム
■施工後
- 仕上がりが良くない
- すぐに補修が必要になった
などといったものがみられます。
もちろん、連続して考えられるクレームやトラブルもあるのですが、施工前の計画段階から工事完了後までの期間は、少なくとも数年に及ぶものになります。
そのようなことから、それぞれのタイミングで生じやすいクレームやトラブルを分析し、その対処に取り組んでおくことが重要でしょう。
大規模修繕によくあるクレーム対処法
上記において、大規模修繕によくあるクレームを『施工前』『工事期間中』『完了後』に分けてご紹介しましたが、特によくみられるものを3つにまとめるとすれば、
- 修繕積立金の追加徴収や値上げ
- 工事中の騒音やニオイ、ホコリなど
- 足場設置によるプライバシーやセキュリティの問題
といったものになります。
ただ、事前に対策を講じておけば、十分にリスクを下げることができますので、取り組んでおくといいでしょう。
・修繕積立金の追加徴収や値上げ
まずは『費用面』。
マンション住民の大半は、大規模修繕工事の必要性について認識しているため、毎月必要な修繕費を納めています。
ただ、計画立てて進められてきたものの、修繕費の追加徴収や値上げということになると、抑えてきた感情がクレームとなって現れてしまうことになります。
まだ、不足している額が少額であれば、事情を説明して徴収できるかもしれませんが、大きいものになると反発は必死となってしまいます。
大規模修繕工事は、足場を設置してから新たな修繕箇所が見つかり、修繕費用が追加請求されるようなケースがあります。
ただ、そのようなケースも想定して計画しておけば、ある程度は回避できるものなのです。
そのため、計画段階から余裕を持って工事に取り掛かれるようにしておくことが大事で、仮に追加請求があったとしても対応できるような体制にしておく必要があります。
・工事中の騒音やニオイ、ホコリなど
大規模修繕の工事中は、注意して工事を進めるものの無音であることは不可能で、塗装工事であれば塗料のニオイが、その他の修繕工事でもホコリが発生します。
例えば、足場の設置や解体においては、鉄パイプを組むために、金属音が出てしまい、外壁の修繕時には室内にまで音が響いてくるようなこともあります。
そのため、対策としては、工事内容や時間を事前に告知しおき、特に大きな音が発生すると思われる工事の場合には、さらに注意喚起しておくといいでしょう。
大規模修繕では外壁塗装も多くみられることから、ニオイに関するクレームも少なくありません。
塗料のニオイを不快に感じるだけではなく、気分が悪くなることやストレスで不調が生じてしまうようなケースもあります。
そのため、計画段階においてニオイに対する聞き取りをしておくことや、ニオイの少ない塗料を選択しておくことも対策になるでしょう。
・足場設置によるプライバシーやセキュリティの問題
大規模修繕工事での足場設置は、職人が質の高い作業を安全に取り組むために重要ですが、ベランダ外に人影があるのは、室内にいる居住者からすれば不安に感じる方も多いでしょう。
カーテンを閉めてもらうよう徹底するのも一つですが、いつまでも日中にカーテンが開けられないのは、ストレスが生じるのも理解できます。
そのため、工事内容や工事個所、時間帯などを小まめに告知するように徹底しておけば、ある程度、不安やストレスを軽減させることができます。
もちろん、職人が作業中に足場から室内を見ることがないように徹底しなければならないことは言うまでもありません。
あと、セキュリティの問題について不安に感じる方も少なくありません。
特に職人がいない夜間から朝方にかけて、どのような防犯対策を講じているのか、通知しておくことが重要になります。
防犯カメラやセンサーライトの設置、作業員とひと目でわかる腕章の着用などがよくみられる対策ですが、室内で設置する補助錠の貸出なども有効になるでしょう。
大規模修繕にみられるクレーマー対策
みなさんの中にも、悪質なクレーマーによる言いがかりや揚げ足取りなどによって、土下座など過度な謝罪を求められることや暴言を浴びせられるといった報道を見たという方は多いでしょう。
クレーマーとは、理不尽な理由で行き過ぎたクレームをつける人のことを指しており、『モンスタークレーマー』などと言われることもあります。
クレームには、正当で根拠のあるものもあり、クレームによって正しい方向に導いてくれるものでもありますから、クレームに耳を傾けることはとても重要です。
ただ、そのクレームが一線を超えてしまうと、悪質で不当なものもあるため、弁護士の介入が必要になるケースも珍しくないのです。
知っておきたいクレーマー対策についてご紹介していきましょう。
・クレーマーとは
クレーマーとは上記でお伝えした通り、悪質な言いがかりや揚げ足取りなどによって、過度な謝罪や対応を求められる行為を行う人のことを指します。
報道などでは、過度に謝罪を求められるケースや、大声で怒鳴る、いつまでも詰め寄られるようなケースなどを見かけます。
クレームとは、『苦情』を意味する言葉のようなイメージを持ちますが、そもそも『請求』や『要求』といった意味を持っています。
ただ、クレームが悪質になると、どれだけ謝罪しても対応しても、さらに対応を求められますから、時間と労力をどんどん費やしてしまうことになります。
大規模修繕に対するものでも、不当に責められるようなケース、協力に拒否されるケースが起きていますから、注意して対応に当たらねばなりません。
・大規模修繕でみられるクレーマーとは
- 何かにつけてクレームをつける
- 各部屋に必要な調査を拒否する
- 毎日のように理事宅に連絡して質問する
- 総会において必要ない発言を繰り返し、決議を邪魔する
- 工事期間中に共用部分に私物を置くなどによって迷惑をかける
- 修繕積立金の値上げに一切応じない
- 大規模修繕を思い通りに進めるためすべて仕切ろうとする
大規模修繕でみられる、過度なクレームについて調べてみると、実際にこのようなケースが起こっていることが分かります。
このようなクレーマーの存在によって、専門業者や管理組合での対応だけでは困難になり、中には弁護士が仲介してトラブルの解決に当たっている事例もあります。
何度も言うようにクレームは、大規模修繕をより良いものにするために大切なご意見ではありますが、過度になってしまうと、スムーズに工事が進められなくなってしまいます。
クレーム内容が過度であるようなことから、事前に対応を検討するのは難しいですが、過度なクレームの可能性も想定しておき、いざ生じた際に対応方法を定めておくのが重要です。
・大規模修繕でのクレーマー対策
- 管理組合や理事会、専門業者での情報共有
- 事実確認と証拠集め
- 弁護士への相談体制
過度なクレームに対する対策として、上記の通りにまとめてみました。
クレーム対応としては、理事会の理事長や専門業者の担当者など、1人がクレームを請け負うケースが多くみられます。
しかし、決して請け負った者だけが対処するのではなく、管理組合や理事会、専門業者などにおいて情報共有しながら対応していくことが適切です。
そのうえで、チームとして適切に対応していく姿勢が重要なのです。
例えば、上記でもお伝えした通り、調査に協力してくれないような場合には、事実確認と共に、確かにそのような行為があったという記録や映像など証拠を残しておくようにします。
そもそも、大規模修繕によるマンション管理の観点においては、専有部分であるとして専有部分であるとしても調査に協力しなければならないと、区分所有法には定められています。
だからといって、無理に立ち入るようなことはできませんが、希望の日時などを選択できるようにしておき、弁護士から内容証明を送付するなどの対応が考えられます。
まとめ
大規模修繕でのクレーム対策について、よくみられるクレームやその対策、過度なクレーム、クレーマーへの対応などについて詳しくご紹介しました。
大規模修繕工事は、大きな費用が必要になり、大がかりな工事となり、また工事期間も長くなることから、居住者からのクレームは避けることができません。
ただ、事前にどのようなクレームが想定できるのか、しっかりと把握しておくことによって、リスクを下げることができます。
そのような気遣いがみられる大規模修繕であれば、居住者の多くは協力しようとする姿勢になるものだからです。
しかし、そのような対策をしていてもなお、過度なクレームが発生するケースもあり、工事の進行に影響を及ぼすようなことがあります。
クレーマーと呼ばれますが、関係者それぞれで情報を共有しながら、適切に対処していくことが必要でしょう。
気になることは経験豊富な専門業者に相談するようにしておき、アドバイスを受けながら進めていくことをおすすめします。
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