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大規模修繕工事では、業者選びが重要であり、慎重に検討する必要があります。
業者選びを間違ってしまうと、費用が予定よりも高額になってしまうことも珍しくなく、また質の悪い工事によってトラブルになってしまうこともあるからです。
そのため、大規模修繕を行う際には、必要な技術や経験を十分に持ち、適切なアドバイスが納得いくまで受けられる専門業者を選ぶことが重要です。
業者選びには、修繕工事にかかる費用の目安を理解し、業者間の価格を比較するために、複数の業者から相見積もりを取ることが大切になります。
そこでここでは、マンションの大規模修繕工事における業者選びのための相見積もりについて、見積りの取り方やチェックポイントなどを踏まえ、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
マンションの大規模修繕に必要な『相見積もり』とは
マンションの大規模修繕は専門業者に依頼することになりますが、長期にわたる大規模な工事で、費用も高額になることから、専門業者選びは重要になります。
そのため、相見積もりを取って比較検討したうえで専門業者を選択するという流れが一般的となっています。
ただ、相見積もりと言っても、同じ商品を複数の業者で比較するのであれば単に費用だけに着目すれば良いのですが、大規模修繕は提案する業者によって工事内容も異なります。
そのようなことから、費用はもちろんのこと、工事内容や工期、あるいは専門業者のスキル・経験なども踏まえ、総合的に判断しなければなりません。
そこでここでは、相見積もりの必要性と共に、取得方法、業者選びのポイントなどを詳しくご紹介します。
・マンション大規模修繕の発注には『相見積もり』が不可欠
大規模修繕工事業者を選定する際には、どの業者が最も適しているかを判断するために、複数の優良な専門業者から相見積もりを取ることが重要です。
そうすることで、費用対効果の高い専門業者を見つけられる可能性が高くなり、さらには、効率的にスキルの高い専門業者を選択できるからです。
相見積もりのメリットの1つとして、最良の専門業者を選ぶ材料として、異なる見積もりを並べて比較することができることにあります。
マンションの資産を維持するために、どのような修繕が必要になるのか、その修繕に対してどのくらいの費用がかかるのか、正確な見積もりを知ることができます。
専門業者からすれば、相見積もりで業者選びが行われるということであれば、当然ながら競争力が問われることになりますので、コストパフォーマンスが高いと考えられる提案を提供しなければなりません。
マンション側からすれば、より優良な専門業者を選びやすくなりますし、不必要なコストの出費を避けるのにも役立つのです。
ただし、相見積もりはスキルの低い専門業者を選別するために役立ちますが、より優良な専門業者を選ぶためには、見積り内容を精査する力も必要になります。
マンションの大規模修繕は専門性の高い工事であり、専門性を持った業者が取り扱う工事であることから、管理組合としても簡単に進められるものではないと言うことです。
・相見積りをどのように取得すればいいか
大規模修繕工事の専門業者選びのためには相見積もりを欠かすことはできませんが、ただ単に専門業者に見積りの依頼を出せばいいというものではありません。
というのも、大規模修繕には外壁や屋根の修繕、屋上の防水、鉄部の塗装など、さまざまな項目が存在し、専門業者によって修繕方法も異なるからです。
見積りを依頼しただけでは、各社がまったく異なる工事内容で作成し、複数の見積りを受け取っても単純に比較することができないのです。
そのため、見積りを依頼する専門業者を選ぶ前に、どのように大規模修繕工事に取り組むのか、工事の施工範囲や仕様を明確にしておかねばならないのです。
・見積もり価格だけで専門業者を選ばないこと
各専門業者から見積りを取ると、どうしても提示された価格だけに着目して、選定してしまう可能性があります。
確かに、価格は比較ポイントではありますが、比較項目のひとつだけであるため、優良な専門業者を選定するためには情報が不足しているのです。
仮に、数社の見積りで一番価格の安い専門業者に依頼した場合に、無理に人件費や建材費を抑えている悪徳業者であったとしたらどうでしょう。
もちろん工事の品質はとても悪いものになり、工事後に施工不良や不具合を生じさせる可能性がありますし、本来の耐用年数よりも早く劣化症状が現れてしまうかもしれません。
そうなると、追加の修繕が必要になってしまうため、結局はほかの優良業者を選択するよりも費用負担が大きくなることも考えられます。
そのようなことから、一時的なコストではなく、次の大規模修繕までしっかりと維持できる高いコストパフォーマンスを視野に入れておかねばならないでしょう。
マンションの大規模修繕の相見積もりまでに準備しておきたいポイント
上記でもお伝えしたように、大規模修繕の相見積もりを取るまでに、工事の施工範囲や仕様を明確にしなければ、正確な比較ができません。
そのためにいくつかの準備が必要になりますが、そのポイントについていくつかご紹介していきましょう。
・マンションの建物診断・建物調査に取り組む
専門業者に見積りを依頼する前に、まずはマンションの状態をしっかりと把握するために、建物診断を行っておくことが重要です。
相見積もりを取る際に、『建物診断報告書』と『大規模修繕計画書』が重要になってくるためです。
建物診断とは、マンションの外壁や屋根、屋上、給排水設備などの劣化状況を確認するための調査のことを指しています。
もし先に見積りを依頼して専門業者を選択した場合、工事前に見積り以外の箇所に損傷が見つかることや、予想以上に劣化が酷く、追加費用が必要になってしまう可能性があります。
先に建物診断をしておくと、どの箇所にどのような劣化や損傷が生じているのか明らかにでき、修繕工事の優先順位も明確にできます。
そうすれば、長期的な修繕計画を明確にすることができ、次回の大規模修繕において必要な工事内容が決定でき、それらの費用も明らかになります。
そのため、正確に見積りを取りやすくなり、うまく相見積もりができるのではないでしょうか。
・大規模修繕工事に対する費用相場を把握しておくこと
見積り価格をみて、正確に判断するためには、大規模修繕工事に対する費用相場を把握しておくことが重要になります。
2017年5月から7月にかけて国土交通省によって実施された「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(国土交通省)」によりますと、一戸あたりの工事費用は次のように報告されています。
回数 | 工事費用の平均値 |
1回目 | 100.0万円/戸 |
2回目 | 97.9万円/戸 |
3回目 | 80.9万円/戸 |
1回目の大規模修繕工事に限定してお伝えすると、調査結果でもっとも多かった価格帯は『75万円~100万円』が32.7%、次いで『100万円~125万円』が31.3%と報告されています。
さらに1平米での単価については、次のような調査データとなっています。
回数 | ㎡あたりの平均金額 |
1回目 | 13,095.9円/㎡ |
2回目 | 14,634.9円/㎡ |
3回目 | 11,931.0円/㎡ |
大規模修繕工事の1回目から3回目を通して、1万円~1.5万円がもっとも多くなっています。
もちろん、これらの数値については、建物の損傷や劣化の状態によって変動するものではありますが、目安として把握しておくことは大切でしょう。
このような目安と見積りに大きな乖離がある場合には、専門業者の担当者に確認してみることが重要です。
・修繕工事の仕様書を作成する
建物診断において、マンションの劣化や損傷の状況が明らかになれば、具体的な修繕工事の仕様書を作成します。
工事仕様書とは、工事の工程や材料、数量、グレードなどを記している書類のことであり、料理に言い換えてみれば『レシピ』のような存在になり、大規模修繕には欠かせないアイテムとなっています。
工事仕様書の作成の流れとしては、建物診断によって劣化や損傷を明らかにしたのちに、マンションの住民に対してアンケート調査し、専有部や共用部において気になる箇所を聞いておくと良いでしょう。
具体的には、専有部としては、ベランダやバルコニーの塗装の劣化や損傷、玄関ドアや網戸などのガタツキ、出窓からの雨漏りといったものが多くなっています。
共用部においては、廊下や階段、手すりなどの汚れや劣化、集会室やエントランスなどでの劣化や損傷などが主な内容となります。
建物診断と共にアンケート結果も交え、どこまでの工事を実施すべきなのか、グレードアップが可能なのか、修繕積立金の状況なども踏まえ、工事範囲を決めていきます。
恐らくさまざまな箇所が修繕対象として挙げられますから、実際にマンションの修繕委員会のメンバーで修繕箇所を見渡してみて、修理すべき箇所を決定すると良いでしょう。
工事範囲が決まれば工事仕様書の作成となりますが、専門的な知識や経験が必要となりますので、多くのマンションにおいては管理会社や総合建設業者、大規模修繕専門業者に依頼するケースが多くなっています。
見積もりを取る専門業者の種類
マンションの大規模修繕工事において、実際に依頼する業者にはいくつかの種類があります。
- 管理会社
- 総合建設業者
- 大規模修繕専門業者
どのような違いがあるのかご紹介していきましょう。
・見積もりを取る専門業者の種類とその違い
分譲マンションにおいては、管理会社がもっとも身近な存在であるため、管理組合にとっても依頼しやすいのがメリットだと言えます。
管理組合に依頼しておけば、建物調査から大規模修繕までお任せで進めることができますが、そのような場合には競争原理が働きませんから、工事内容と比較して修繕積立金を大きく減らしてしまう可能性があります。
冒頭からお伝えしている通り、相見積もりは大規模修繕において欠かせないものですから、管理会社も含め、うまく進めていくことが大切です。
総合建設業者は、『ゼネコン』と呼ばれることもあり、大規模修繕工事全体の取りまとめ・施工管理を行っている建設会社のことを言います。
そのため、実際に工事を行っているのは下請けであることがほとんどであるため、工事費が高くなる傾向にあり、さらには下請け業者によって、工事の品質も悪くなる可能性があります。
コストパフォーマンスが良いのは、『大規模修繕の専門業者』でしょう。
自社で大規模修繕工事を請け負って施工しているため、経験豊富な専門業者を選択すれば、工事の品質は高く、しかも相場よりも安い価格になるケースも多いです。
・工事業者との面接が重要
大規模修繕の施工業者を選択するには、見積りだけではなく、実際に担当者と面接して、見積内容についてプレゼンをしてもらい、その内容によって決定していきます。
実際に大規模修繕工事が始まると、マンションの周囲に足場が設置され、多くの作業員が出入りする中で作業が行われます。
マンション居住者にとっては、生活環境が一変してしまうことになりますから、不安を感じることや困った状況になることも想定できます。
そのため、いかにスムーズに工事を進めていけるのか工事担当者からアドバイスを伺い、管理組合が感じている疑問などもぶつけながら、納得できる回答を持っている業者を決定していきます。
そのようなことから、面接をする専門業者の経験や実績なども把握しておくようにし、どのように工事を進めるのか具体的な工程、また施工後のフォローや保証などについても確認する必要があります。
また、面接時には営業担当者や現場の監督責任者などが同席することになりますが、相談しやすいかどうか、人柄も重要なチェックポイントとなります。
まとめ
マンションの大規模修繕工事における業者選びのための相見積もりについて、見積りの取り方やチェックポイントなどを踏まえ、詳しくご紹介しました。
大規模修繕はマンションの規模にもよりますが、数か月から1年以上もわたる工事になり、費用も1億円を超えるケースもあります。
それだけに、業者選びを間違ってしまうと、質の悪い工事になってしまうことや、相場よりも高い費用がかかってしまうことも珍しくありません。
そのため、いくつかの専門業者に見積りを依頼し、見積り内容をしっかりと比較したうえで、工事担当者と面接を行い決定していかねばなりません。
相見積もりで最良な業者を選ぶためにも、マンション側の準備も必要になりますので、大規模修繕の内容について把握しておかねばなりません。
どのように進めていけばいいのか分からない場合には、地元で経験豊富な大規模修繕の専門業者に相談するようにし、アドバイスを受けながら進めていくようにしましょう。
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