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マンションの外壁タイルが剥がれ落ちて、トラブルになっているという事例をご存知でしょうか。
外壁タイルが採用されているマンションはとても多く、耐久性が高いために、近年その割合は増えています。
ただ、外壁タイルそのものの耐久性は高いものの、下地に貼り付けて外壁を構成しているため、何かのきっかけによって外壁タイルが剥がれ落ちるということが起きてしまうのです。
当然ながら、仮に外壁タイルが剥がれ落ちてしまったとしたら、最悪の場合には大惨事に至ってしまう可能性も考えられます。
そのようなことがないように、外壁タイルの状態についてチェックしておき、必要に応じて修繕を行わねばなりません。
そこでここでは、マンションの外壁タイルが剥がれ落ちるという劣化症状について、その原因や補修方法などを踏まえ、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
マンションの外壁タイルが剥がれ落ちる状況や原因
マンションの外壁タイルが剥がれ落ちてしまうと聞くと、「そんなことがあるのか」と驚かれる方も多いのではないでしょうか。
外壁タイルはとても頑丈に作られていることから、そのような損傷など起きるはずはないと考えている方も少なくありません。
確かに外壁タイルは、かなりの高温で焼き固めた建材であることから、『メンテナンスフリー』と言われるようなこともあります。
ただ、外壁タイルが剥がれ落ちるというケースについては、突発的な事例ではなく、どこにでも発生する可能性があると認識しておく必要があるのです。
・マンションの外壁タイルが剥がれ落ちる、とは?
マンションの外壁タイルが剥がれ落ちて、トラブルに発展するケースは実は少なくありません。
剥がれ落ちてしまう原因については詳しく次にご紹介いたしますが、下地に密着させている外壁タイルが浮いた状態になってしまい、その箇所が崩落してしまう状態のことを指しています。
外壁タイルは下地のコンクリートに接着させているのですが、その接着が弱まってしまうと浮きが生じてしまい、最終的には部分的に剥がれ落ちてしまいます。
このようなトラブルの中には、剥がれた外壁タイルが通行人に直撃してしまうようなケースも実際に起こっています。
もちろん、外壁タイルの全てが剥がれ落ちてしまうというものではないですが、浮いた状態になっているケースは珍しいことではありません。
浮いた状態から崩落してしまうリスクがあるため、建築基準法においては条件に適合している建物に対して打診調査等を義務付けています。
打診調査とは、打診棒によって外壁タイルを叩いてみて、音の違いや感触の違いによって浮いている外壁タイルを見つけ出すという調査になります。
・マンションの外壁タイルが剥がれ落ちる原因
マンションの外壁タイルは、下地のコンクリートに接着させて構成されているため、この接着が弱くなってしまうことによって浮きが生じ、剥がれ落ちる原因となってしまいます。
では何故、接着が剥がれてしまうのかと言うと、
- 地震などの天災
- 経年劣化
- 温度変化
- コンクリートの中性化による鉄筋の爆裂
- 施工不良
といったものが直接的な原因になると考えられています。
地震のように激しい揺れが生じると、特に高層マンションのような場合であれば、コンクリートの動きに外壁タイルが追随できず、ひび割れや浮き、剥がれが生じることがあります。
そのようなことから、大きな地震が生じた後には、外壁タイルの状態を確認しておくことが大切になります。
経年劣化によって、接着が弱くなってしまって浮きが生じることもあります。
あるいは外部環境の温度変化によって、収縮や膨張を繰り返し、その中で浮きや剥がれが発生してしまうようなこともあります。
外壁タイルにひび割れが生じたような場合、そのひび割れの箇所から雨水が浸入し、外壁内部に雨水が溜まってしまい、コンクリートが中性化してしまうことがあります。
コンクリートはもともと強いアルカリ性ですので、内部の鉄筋を錆びつかせるようなことはないのですが、雨水が浸入すると中性化して、鉄筋が錆びてしまうことがあります。
すると、鉄筋が膨張してしまい、コンクリートを押し出すような形になってしまい、一番外側にある外壁タイルに浮きや剥がれが生じてしまうのです。
また、外壁タイルを接着させた段階での施工不良によるものも考えられます。
例えば、外壁タイルを施工する際に、下地であるコンクリート表面の汚れをしっかりと落としておかないと、その汚れによってしっかりと付着せずに剥がれやすくなってしまうのです。
その他にも、圧着させるモルタルやセメントが十分に充填されていないことや、コンクリート表面の下地処理が不足しているようなことも考えられます。
そのようなさまざまな原因が考えられますが、実際に剥がれ落ちてしまうとその原因を掴むのは大変困難です。
そのため定期的な調査によって浮いている箇所をつかみ、剥がれ落ちる前に補修しておくことがとても大切です。
マンションの外壁タイルの調査方法
マンションの外壁タイルに生じている浮きや剥がれを見つけ出すためには、外壁タイルの状態を調査することが大切で、主に3種類の方法が活用されています。
順番にどのような調査方法なのかご紹介していきましょう。
・目視による調査
マンションの外壁タイル全体を、注意深く観察する目視による調査が行われます。
上記でもご説明した通り、外壁タイルには地震や経年劣化、温度変化、施工不良などによって、さまざまな現象が生じます。
コンクリート下地から浮いている状態をはじめとして、外壁タイルのひび割れ・欠け・欠損、タイル面の膨れなどが目視によって確認することができます。
外壁タイルが正常な状態でない場合には、剥がれ落ちてしまう可能性があるため、異常が発生している箇所を正確に記録していきます。
・打診調査
打診調査とは、調査員が『打診棒(打音診断棒)』と呼ばれる調査するための金属製の棒を使い、外壁タイルに刺激を加えた際の音で浮きを調査していきます。
叩いたりこすったりすることによって、正常な箇所と音を比較すると、明らかに浮いていることが簡単に確認できます。
かなり精度の高い調査ができることから、外壁タイルの浮きを調査する方法として、推奨されています。
ただし、マンションの外壁全面を調査員の耳を頼りにして丁寧に調査していく必要があるため、足場やゴンドラの設置が必要で、作業自体は長時間に及ぶことになります。
・赤外線調査
赤外線調査とは、赤外線カメラによって外壁タイルの浮きを確認するという調査方法のことを指しています。
建築基準法においては、条件に該当するマンションにおいては定期的に『全面打診等』によって浮きの調査が必要であると定められていますが、この方法の中に赤外線調査も含まれています。
先程ご紹介した打診調査は、精度の高い調査方法であるとして推奨されてはいますが、足場を設置するなどして長時間の調査が必要になるため、コスト負担が大きくなる傾向にあります。
その点、赤外線調査であれば、赤外線カメラで撮影すれば外壁タイルが浮いている箇所を判別することができますので、コストを大きく抑えることが可能になります。
ただ、打診調査では丁寧に音を聞き分けて調査していくために精度が高く、赤外線カメラは打診調査と比較すると正確性に欠ける傾向があります。
しかも、直射日光があたらない箇所については、精度が低くなると考えられているため、打診調査と併用されているケースが多くなっています。
マンション外壁タイルの補修の流れ
①打診調査
②下地・タイル補修
③目地補修
マンションの外壁タイルを補修する流れは、大きく分けて上記の通りに進んでいくことになります。
まず最初に、上記でもご紹介した打診調査が行われることになり、目視調査や赤外線調査なども併用されるケースもあります。
調査によって浮きが確認された箇所はマーキングしておき、そのマーキングをもとにして補習が行われることになります。
調査が完了すれば、次に下地補修、タイル補修が行われます。
補修方法については次の章で詳しくお伝えしますが、接着剤であるエポキシ樹脂を注入する工法やタイルを張り替える工法が採用されることになります。
劣化症状が軽微な場合にはエポキシ樹脂注入工法が採用されることが多く、劣化や損傷の箇所が広範囲の場合には張り替え工法が採用されることになります。
タイルの補修が終わったら、タイルとタイルの隙間にある目地を補修します。
モルタルやシーリングと呼ばれる充填剤を注入し、外壁内部に雨水が浸入しないように防水目的のために目地の補修が行われています。
マンション外壁タイルの補修方法
マンションの外壁タイルが落ちないようにするためには、劣化や損傷が生じている箇所に対して補修をしなければなりません。
補修にはいくつかの方法がありますが、ここでは『アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法』と『タイル張替え工法』の2種類をご紹介いたします。
・アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
『アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法』とは、アンカーピンニングと呼ばれているステンレスの金物と、エポキシ樹脂注入材を活用して、外壁タイルの接着を行い、剥がれや浮きを防止するというものです。
外壁タイル専用のコンクリートドリルなどを活用し、浮いていないタイルに悪影響を与えないようにしてアンカーピンよりわずかに大きい穴を開け、そこからエポキシ樹脂を注入し、最後にアンカーピンを挿入します。
既存の外壁タイルの浮きが部分的に生じているような場合には、その箇所だけ補修すれば済みますので、メリットの大きい施工法であると言われています。
外壁タイルを撤去してから貼り直すような施工法ではないため、撤去するための手間やコストがかかることはなく、新たな建材が必要になることもほとんどないからです。
ただし、外壁タイルの浮いている箇所は、見逃すことがないように事前調査によって明らかにしておかねばなりません。
・タイル張替え工法
『タイル張替え工法』とは、劣化や損傷、欠損している外壁タイルを撤去し、新しいタイルに張り替える施工法です。
電動カッターなどのディスクサンダーを活用して、外壁タイルの目地に切れ目を入れ、ハツリ機を用いてタイルを撤去します。
タイルを撤去した部分に下地材を塗布して、新しいタイルを貼っていき、さらにタイルの目地にモルタルを塗布して均一にして完成です。
外壁タイルに劣化や損傷、欠損が進行している場合には、タイル張替え工法が採用されるケースが多いです。
ただ同じタイルを活用するため、新築から既に一定程度の期間が経過している場合には、同じ外壁タイルが既に廃盤になっている可能性も珍しくありません。
そのような場合には、同じ色の建材を活用するか、もしくは同じものを再度発注して作成するかしなければなりません。
また、同じ外壁タイルがあったとしても、新築からある程度の期間が経過している場合、新しいタイルと既存のタイルとでは、明らかに見た目が異なります。
部分的に新しくなってしまうために、どうしても見た目が悪くなってしまうデメリットがあります。
さらには、外壁タイルを剥がす際に電動カッターなどを用いますが、大きな切断音が発生し、しかも多量の粉塵が飛散することになりますから、居住者や近隣住民にとってはとても不快な作業となってしまいます。
まとめ
マンションの外壁タイルが剥がれ落ちるという劣化症状について、その原因や補修方法などを踏まえ、詳しく解説しました。
マンションの外壁に活用されているタイルは、高い耐久性を誇り、おしゃれな外観イメージとなることから人気となっています。
ただ、外壁タイル自体の耐久性は高いものの、接着されている下地のコンクリートから浮いてしまい、剥がれ落ちるといったトラブルが発生しています。
実際のところ、外壁タイルの調査をしていると、浮いている箇所を発見することは珍しくなく、浮いている場合にはいつ何時崩落してしまうか分かりません。
そのようなことから、定期的に外壁タイルの調査をしておき、必要に応じて補修しなければなりません。
マンションの大規模修繕を検討しているのであれば、地元で経験豊富な大規模修繕の専門業者に相談し、アドバイスを受けながら進めていくと良いでしょう。
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