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「マンションの外壁から、白い液体のようなものが流れ出ている…」
「外壁の表面に、白くシミになっている部分がある…」
「メンテナンスしなければならないの?」
このような現象のことを『エフロレッセンス(白樺現象)』と呼ばれています。
エフロレッセンスと言っても馴染みのない言葉ではありますが、コンクリートに起こる現象であるために実際に見たことがあるという方は少なくないと思います。
結論から申し上げますと、コンクリートの劣化症状の一つで、美観を損なうのはもちろんのこと、内部の腐食が進んでいる可能性も考えられます。
ではどのように対処すればいいのでしょうか。
そこでここでは、マンションの外壁に見られるエフロレッセンスについて、特徴やメンテナンスの必要性、対策などを踏まえて、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
エフロレッセンス(白樺現象)とは?
エフロレッセンスとは、コンクリート外壁の表面に沈着した白色の物質のことを指しており、白い花のように見えることから『白樺現象』と呼ばれることもあります。
コンクリート内部に浸み込んだ水が蒸発する際に、水に含まれた成分がコンクリート表面に固着して白くなることから、このような現象となって表れるのです。
さてなぜこのような現象が起きるのか、そのメカニズムや原因、放置したままにしているとどうなるか詳しくご紹介していきましょう。
・エフロレッセンスとは
エフロレッセンスは、上記でもお伝えした通り、コンクリートに染み込んだ水が蒸発する際に発生する現象のことで、コンクリートの劣化症状の一つであると考えられています。
そもそもコンクリートは防水性に優れているわけではないため、雨や雪などを吸い込むことによってコンクリート内部に水分が侵入してしまいます。
侵入した水分はコンクリート内部によって、コンクリート中に含まれている成分である水酸化カルシウムが水に溶けてしまいます。
夏の暑い日などに気温が高くなり、コンクリート内部に含まれている水分が蒸発すると、水分だけは建物の外に逃げて行き、水分に含まれた水酸化カルシウムは外壁表面で乾燥し結晶します。
すると外壁表面にエフロレッセンスとして発生することになるのです。
エフロレッセンス自体は、新築時のコンクリートが時間をかけて乾燥していく中で生じることや、雨や雪、結露などから水分を吸い込んで発生することもあります。
2次的に雨や結露などの水分から発生する場合には、特定の部位だけに発生することが多く、このようなケースの場合にはコンクリートの劣化が原因であると考えられます。
・エフロレッセンスの原因
エフロレッセンスは、コンクリートの成分であるセメント系材料の中でも、最も溶解度が大きい水酸化カルシウムが水分に溶け出すことが、そもそもの原因であると考えられています。
水分が蒸発する際に外壁表面に付着し乾燥することによって、炭酸カルシウムに変化して固着することによって、独特の白い状態となるのです。
先にもお伝えした通り、新築時のコンクリートに含まれている水分からエフロレッセンスが始まるケースもあることから、この現象によってコンクリートの品質に問題はありません。
ただ、二次的に雨や湿気などがコンクリートに染み込み、発生したエフロレッセンスである場合、ひび割れなどから水分が侵入したものである可能性があります。
そのようなケースであれば、コンクリート内部が中性化し、鉄筋が錆びている可能性がありますから十分に注意が必要です。
・エフロレッセンスは放置しているとどうなる?
上記でもお伝えしている通り、エフロレッセンスは新築時のコンクリートに含まれている成分によって生じるケースと、ひび割れなどから水分が侵入して生じるケースの2種類の原因があります。
新築時のコンクリートにおいては、時間をかけて少しずつ水分が抜けていき、内部が高いアルカリ性へと変化していきます。
しかし、ひび割れなどから水分が浸入して発生する場合においては、コンクリート内部のアルカリ性が低下してしまい、中性化していきます。
鉄筋コンクリートの鉄筋においては、コンクリート内部が高いアルカリ性だからこそ、錆びずに建物の耐久性を発揮します。
しかし中性化が進んでしまうと、内部の鉄筋が錆びてしまうことになり、最悪の場合には耐震性にまで悪影響を及ぼすことになるのです。
鉄筋が錆びてしまうと、膨張してコンクリートを押し出し、外壁表面を破壊してしまうことになります。
この現象のことを『爆裂現象』と呼んでいます。
そのようなことから、壁面が白っぽくなっていることや、白いシミを発見することができれば、速やかに専門業者に相談して、ひび割れが生じているような場合にはメンテナンスすることが重要です。
エフロレッセンスが発生した場合の対策
エフロレッセンスが発生してしまうと、外壁表面に白い物質が固着してしまって美観を損なう原因となり、さらにはコンクリート内部が中性化することによって爆裂現象が生じてしまうことがあります。
そのようなことから、エフロレッセンス自体を専用の洗剤で除去することや、中性化を防ぐための補修が必要となります。
さらには、再発防止のために外壁塗装も有効となります。
・エフロレッセンスの除去
エフロレッセンスは、外壁に白い物質が外壁表面に沈着していることから、美観を損なってしまいます。
時間を取り戻すためには、まずエフロレッセンスを除去することが重要です。
ブラシを活用して水洗いするだけで汚れを落とせるケースもありますが、物理的に削り落としてから専用の薬品で除去することになります。
ただし大きく堆積している場合には、ヘラなどを用いて削り落とすことが可能ですが、薄く張り付いている場合には落とすことが難しく、薬品を活用していきます。
上記でもお伝えした通り、エフロレッセンスの成分は水酸化カルシウムで強いアルカリ性であることから、酸性の薬品を活用すれば分解させることができるのです。
・ひび割れの補修
エフロレッセンスは、外壁内部に雨水や湿気が浸入することによって生じることがありますので、ひび割れを防がなければなりません。
外壁のひび割れは、髪の毛程度のごくわずかなヘアクラックと呼ぶものから、ひび割れ幅の大きな構造クラックと呼ばれるものまであります。
また、外壁材をつなぎ合わせるために活用されているシーリング材に、ひび割れが生じているケースもあります。
髪の毛程度のヘアクラックであればそれほど緊急性はありませんが、ひび割れの幅が大きくなるほど緊急性が高くなり、速やかに専門業者に依頼する必要があります。
ひび割れの補修については、Uカット工法などによって埋めて塞いでいきます。
またシーリング材の劣化については、劣化しているシーリング材を除去した上で、新しいシーリング材に打ち替えていきます。
・外壁塗装
エフロレッセンスは、コンクリート内部に水が浸入することによって発生しますので、外壁塗装によって防水性を高めることが対策に繋がります。
そもそもコンクリートは防水性がそれほど強くなく、雨水や湿気を吸い込んでしまう性質を持っています。
外壁に塗装されている塗膜が劣化すると、剥がれや浮きなどの症状が見られるようになり防水性が失われてしまいます。
エフロレッセンスが発生していると、美観を大きく損なうことにはなりますが建物の耐久性においてはそれほど問題がある症状ではありません。
ただ、コンクリートの中性化が進むことによって、内部の鉄筋が錆びついてしまうと、鉄筋がどんどん膨張して、コンクリートを外側に押し出すことになります。
その結果、外壁が膨れているように見えることや、外壁表面を破壊して鉄筋がむき出しになってしまう爆裂現象を生み出してしまう可能性があります。
むしろこのような、コンクリートの中性化や爆裂現象を引き起こしてしまわないように、外壁表面の防水性を高めておくことはとても重要です。
爆裂現象については次の章で詳しくご紹介いたしましょう。
外壁に爆裂現象を引き起こさないために
冒頭からエフロレッセンスについて詳しくご紹介してきましたが、ただ白く汚れているだけだと放置していると、外壁そのものを劣化や損傷を生じさせてしまう可能性があります。
注意しておかねばならない症状に『中性化』『爆裂現象』があります。
中性化と爆裂現象がどのような症状なのか、さらに詳しくお伝えしていきます。
・中性化とは
エフロレッセンスの原因として、コンクリートを構成しているセメントの成分である水酸化カルシウムの存在をお伝えしましたが、水酸化カルシウムは強いアルカリ性が特徴です。
水酸化カルシウムは通常、pH12~pH13の強アルカリ性の状態となっているため、コンクリート内部の鉄筋を錆びつかせるようなことはないのです。
この状態を保っている間は鉄筋が錆びることはありませんが、コンクリート内部に雨水が侵入するようなことや、空気中の二酸化炭素がコンクリートに触れると、アルカリ性を失って中性化を引き起こします。
新築の外壁の場合には、コンクリートの水分が抜けきっておらずエフロレッセンスを引き起こす原因になりますが、少しずつ乾燥することによって自然に現象も起こらなくなります。
ただし、外壁に塗装されている塗膜が剥がれるようなことや、外壁そのものにひび割れが生じているようなケースであれば、その箇所から空気に触れたり雨水に触れたりすることによって、どんどん中性化が進んでいくことになります。
コンクリートが中性化すること自体は、コンクリートの耐久性に影響が及ぶことはないのですが、問題になるのは内部で構成されている鉄筋が錆びてしまうことにあります。
鉄筋コンクリートの建物は、鉄筋とコンクリートによって耐久性や耐震性を高めています。
そのため鉄筋が錆びてしまうことによって、建物の構造に大きな影響を及ぼしてしまう可能性もあるということなのです。
・爆裂現象とは
コンクリートに空気や雨水が触れることによって、アルカリ性を失ってしまい、中性化が進んでしまうと、内部に施されている鉄筋に悪影響を及ぼすことになります。
コンクリートがアルカリ性を保っている状態においては、不動態皮膜と呼ばれる薄い酸化皮膜が鉄筋を覆うため、錆びつかせることはありません。
しかし、内部で中性化が進行してアルカリ性が失われてしまうと、鉄筋に錆びが発生し、その錆びによって鉄筋が膨張してしまいます。
鉄筋が膨張すると、コンクリートを押し出すことになりますから、外壁にひび割れが生じているような場合であれば、さらにひび割れ箇所を広げてしまうことになります。
そのようなことになると、そのひび割れからどんどん雨水が侵入することになり、鉄筋の錆びを加速させ、腐食させてしまうこともあります。
鉄筋が錆びたり腐食したりすると、当然ながら建物の耐久性が損なわれることとなり、耐震性に大きな影響を及ぼすことになります。
さらには、膨張した鉄筋が外壁表面を破壊してしまい、破壊した箇所から鉄筋がむき出しになってしまう状態となることがあります。
そのような現象のことを『爆裂現象』と呼んでいます。
エフロレッセンスに対処せずに放置している場合、このように中性化から爆裂現象を引き起こしてしまうことがありますから、速やかに専門業者に相談するようにしましょう。
まとめ
マンションの外壁に見られるエフロレッセンスについて、特徴やメンテナンスの必要性、対策などを踏まえて、詳しく解説しました。
エフロレッセンスとは、外壁に白い物質が付着して美観を損なってしまう現象のことで、コンクリート内部に含まれている水分が蒸発することによって、水酸化カルシウムが外壁に固着して生じるものです。
洗い落とせるような場合もありますが、大きく堆積してしまうと削り取らないと落ちないような場合もあります。
そのためエフロレッセンスを引き起こさないようにすることが大切ですが、外壁にひび割れが生じているような場合には、別の現象が発生するリスクもあります。
コンクリート内部の中性化が進み、鉄筋が錆びるようになれば建物の耐久性を損なうことになり、また鉄筋が膨張して外壁を押し出し破壊する、爆裂現象が発生するリスクも高まります。
そのようなことから普段からエフロレッセンスが発生していないかチェックしておき、定期的に専門業者に相談して調査してもらうようにしましょう。
マンションやアパートの大規模修繕を検討しているのであれば、地元で経験豊富な大規模修繕の専門業者に相談し、アドバイスを受けながら進めていくと良いでしょう。
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