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マンションやビルなどの建物の屋根は、『陸屋根』と呼ばれる平らな屋根が主流となっており、近年においては戸建て住宅でも見られるようになりました。
陸屋根は、太陽光や風雨の影響をまともに受けてしまう箇所であることから、劣化や損傷が生じやすいために注意が必要です。
損傷したまま放置していると、その箇所から雨水が浸入し、雨漏りを生じさせることや建物内部を腐食させてしまう原因となってしまいます。
そこでここでは、マンションの陸屋根について、屋根材の特徴やメンテナンスのメンテナンスが必要な状態などの情報も踏まえながら、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。
マンションの陸屋根とは?屋根材の特徴について
マンションの陸屋根というと、戸建て住宅のような勾配屋根をイメージする方が多いのですが、陸のように平らな屋根のことを指しています。
勾配屋根とは違って平らであることから、定期的なメンテナンスや防水工事が不可欠となっています。
そのため、どのような状態に気を付けておくべきか理解しておかねばなりません。
・マンションの陸屋根とは?勾配屋根との比較
陸屋根(りくやね)とは、主にマンションやビルなどの建物で用いられる、建物の最上部に設けられた平らな屋根のことを指します。
陸屋根の特徴は、次のように3つの構造的な観点からまとめることができます。
①排水勾配
陸屋根は一見平坦に見えますが、雨水が溜まらないように微妙な勾配がつけられています。これにより雨水は屋根から効率的に流れ落ち、建物の水害を防ぐ役割を果たします。この排水勾配は、陸屋根の設計と施工の重要な部分であり、不適切な勾配は水たまりを引き起こし、結果的に建物への損傷や雨漏りのリスクを増大させます。
②防水工事
陸屋根は平らな形状のため、防水性が特に重要となります。そのため、屋根の表面はウレタン、FRP、防水シートなどの屋根材によって防水層が形成されています。これらの材料は、水分が屋根の下の構造に浸透するのを防ぎ、雨漏りを防ぐ役割を果たしています。防水層が厚く作られることが一般的で、状態を維持するために適切なメンテナンスが必要になります。
③有効利用
ビルやマンションの屋上は、エアコンや換気設備などの設備の設置場所として利用されることがあります。また、安全上の理由から立ち入りが制限されることが多いですが、最近ではそのスペースが有効利用されることが増えてきました。例えば、屋上庭園、太陽光発電パネルの設置、またはレクリエーションスペースとして利用される、などです。
陸屋根に対して、勾配屋根(こうばいやね)は屋根面が一方向または複数方向に斜めになっている屋根を指します。
勾配屋根は斜めになっているため、雨水や雪などが自然に流れ落ちやすい特徴があります。そのため、防水性に問題が発生しにくいですが、屋上空間を利用することは難しくなります。
その形状が特徴的で、建物全体のデザインに大きな影響を与えます。
さらに自然の力で雨水や雪が流れ落ちやすいため、防水性のメンテナンスは比較的少なくて済みますが、屋根材の点検と交換が必要となる場合があります。
以上のように、陸屋根と勾配屋根はそれぞれ異なる特徴と利点を持つため、建物の用途、地域の気候、建築設計などにより適した屋根形状が選ばれます。
・マンションの陸屋根には防水工事が不可欠
マンションの陸屋根は、傾斜が少ないため、雨水が流れ落ちにくい性質を持っています。そのため、陸屋根の防水工事は、建物を雨漏りや腐食から守るために非常に重要です。
陸屋根の防水工事には、いくつかの種類があります。
最も一般的なものは塗膜防水工法で、ウレタン防水・FRP防水があります。塗膜防水工法とは、防水性の高い樹脂を塗り重ねて、屋根を水から守る工法のことを指しています。
また、シート防水工法やアスファルト防水工法などの工法もあります。
紫外線や風雨の影響を受けるため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスを行うことで、防水層の劣化を防ぎ、雨漏りを防ぐことができます。
陸屋根の防水工事を行うことで、雨漏りを防ぐだけでなく、建物の腐食を防ぐこともできます。
雨水が建物に侵入すると、建物の腐食につながりますので、陸屋根の防水工事は、建物の寿命を延ばすためにもとても重要な意味を持っています。
防水工事が適切に行われないと、劣化や損傷の箇所から雨水が浸入し、内部に入り込む可能性があり、これが雨漏りの原因となるからです。
雨漏りは、塗装や壁紙の剥がれ、天井や壁の変色などの視覚的な損傷を引き起こすだけでなく、電気設備のショートや建物内部の湿度上昇、結露、カビの発生など、居住環境の悪化につながる可能性があります。
さらに、 雨水が屋根構造の内部に浸透し続けると、建物の鉄筋や木材などが腐食し始めます。
時間が経つと構造的な問題を引き起こし、修繕費用が大きく増大する可能性があるため、十分注意が必要です。
特に鉄筋コンクリート構造の建物の場合、鉄筋の腐食は深刻な構造的ダメージを引き起こし、最悪の場合、建物全体の強度が低下し、倒壊の危険性が高まってしまいます。
これらのリスクを防ぐために、陸屋根の防水工事は適切に施工し、定期的なメンテナンスを行うことが重要でしょう。
・マンション陸屋根の屋根材にメンテナンスが必要な状態
マンションの陸屋根は、雨や風、太陽光などの影響を受けやすく、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスが行き届かないと、雨漏りや劣化などの原因となり、建物の寿命を縮めてしまうこともあります。
陸屋根のメンテナンスを行う際には、以下の点に注意が必要です。
①目地のひび割れ
陸屋根には、目地と呼ばれる部分があり、屋上の自然環境や温度変化に耐えられるように一定間隔で設けられています。
しかし経年によってひび割れをはじめ、剥がれや浮きなどが生じてしまうことがあります。
目地にひび割れが生じると、防水層が破損し、雨漏りの原因となります。目地のひび割れが見つかった場合は、早めに補修を行う必要があります。
②コンクリート下地のひび割れ
コンクリート下地にひび割れが生じると、雨漏りの原因となってしまうことがあります。
そのため、ひび割れが見つかった場合は、早めに補修を行う必要があります。
③雑草が生えている
排水口の周辺などに雑草が生えているのを見かけることがあります。
特に問題のないように感じるかも知れませんが、雑草の根がコンクリートや防水層を破壊し、水漏れの原因となることがあるため注意が必要です。
また、雑草自体が排水を妨げ、水たまりを作る原因となりますので定期的な除去が必要です。
④ルーフドレン(排水口)にゴミがたまっている
陸屋根には必ずルーフドレンと呼ばれる排水口が設けられていますが、ここにゴミがたまっていると、雨水の排水路が妨げられてしまいます。
溝が詰まると、雨水が溜まりやすくなり、結果的に雨漏りや陸屋根の劣化・損傷を引き起こす原因となってしまいます。
落ち葉やゴミなどが飛んできて、砂埃などが雨水とともに流れてきますので、定期的な除去とともに、ルーフドレンが錆びて排水不良を起こしていないか点検することが大切です。
⑤雨の後に水たまりができる
水たまりができてしまうのは、ルーフドレンにゴミが詰まっていることや、勾配不足が考えられ、早めのメンテナンスが必要な状態です。
また、長期間にわたって、水たまりが存在する状態になると、陸屋根のコンクリートや防水層に水分が侵入し、劣化や損傷の原因となります。
これらの問題は、早めに対応することで大きな損傷を防ぐことができます。専門家による定期的な点検と適切なメンテナンスがおすすめです。
マンションの陸屋根に見られる屋根材~4つの防水工事について
マンションの陸屋根で見られる4つの防水工法は、
- ウレタン防水
- FRP防水
- シート防水
- アスファルト防水
のいずれかが採用されています。
これらの防水工法は、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、建物の形状や予算に合わせて最適な工法を選択することが大切です。
陸屋根において、防水性能と耐久性を確保するためには、それぞれの防水工法が適している状況と条件を理解しておくことがとても重要になります。
そこでここでは、それぞれの防水工法の特徴についてご紹介していきましょう。
・ウレタン防水
ウレタン防水とは、床面にウレタン樹脂を塗り広げて、厚さ2〜3㎜程度の防水層を形成する工事のことを指しています。
ウレタン樹脂は弾力性と耐水性に優れているため屋上防水に適しており、さらには施工も比較的容易で、コストも安価なため、マンションの屋上防水によく用いられています。
施工法には、『通気緩衝工法』『密着工法』の2種類が見られています。
ウレタン防水は、樹脂を下地に塗るだけであり、継ぎ目のない塗膜を形成できるため、高い防水性を提供することができます。
細かい部分や複雑な形状にも対応可能であるのも大きな特徴となっています。
しかし、紫外線に弱いため経年によって劣化や損傷を生じさせてしまうために、定期的なメンテナンスが必要です。
・FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)と呼ばれる、ガラス繊維や他の強化繊維を樹脂で結合させたものを使用して防水層を形成する施工法です。
防水層は強度と耐久性が高く防水性に優れており、さらには軽量であるために、マンションやビルに負担をかけることが少ないと言われています。
成形や硬化が容易であるため、屋根の形状に関わらず適用可能であり、ウレタン防水よりも厚塗りを行うため、耐久性も向上します。
硬化速度が速いので、施工期間が短いのもメリットであると言えるでしょう。
ただし、専門的な技術と機材が必要で、ウレタン防水よりもコストが高いことがデメリットとして挙げられています。
・シート防水
シート防水は、合成ゴムや塩化ビニルなどで作られた防水シートを使用して屋根に貼り付けられ、端部は熱や接着剤で密着させる防水工法です。
施工法には、『接着工法』『機械的固定工法』の2種類が見られています。
施工が容易で短期間に工事を完了させることができ、コストも安価なため、マンションの屋上防水によく用いられています。
しかし、シート防水は厚みが薄いために、ウレタン防水やFRP防水よりも耐久性に劣ると言われているため、定期的なメンテナンスが必要になります。
素早く簡単に施工できる利点がありますが、シートの継ぎ目から水が侵入する可能性があります。そのため、定期的な点検や修繕が不可欠です。
・アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを含ませた合成繊維不織布を用いた防水工法であり、耐久性と耐水性に優れています。
また、コストも安価なため、かつてはマンションの屋上防水によく用いられていました。
火を使ってアスファルトシートを溶かしながら施工するため、高温で作業する必要があるため注意が必要で、ウレタン防水やFRP防水よりも臭いが強いというデメリットがあります。
また、アスファルト防水は比較的重量があり、構造に一定の負荷を加えるため、建物の負担に考慮しておくことが必要になります。
まとめ
マンションの陸屋根について、屋根材の特徴やメンテナンスのメンテナンスが必要な状態などの情報も踏まえながら、詳しくご紹介しました。
陸屋根とは、マンションやビルなどの建物に見られる平らな屋根のことを指しています。
近年においては、屋上庭園や太陽光パネルの設置、レクリエーションスペースとして活用されるケースも増えています。
平らであることからメンテナンスが手軽にできるというメリットがあるものの、太陽光や風雨の影響をまともに受けてしまうことから、一定の頻度でメンテナンスが必要となります。
陸屋根には防水層が形成されており、劣化や損傷が生じてしまうと、雨漏りの原因や内部の腐食に繋がってしまう可能性があります。
陸屋根の防水工事には、ウレタン防水やFRP防水、シート防水、アスファルト防水の4種類があり、それぞれのマンションやビルにおいて適した工法が採用されることになります。
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