アパートの外壁塗装の耐用年数～必要性やタイミングについて徹底解説

アパートのメンテナンスを考える時、なかでも外壁塗装は非常に重要な作業です。美観を保つだけでなく、建物の防水性や耐久性を高めるためにも欠かせない取り組みであるからです。

しかしながら、アパートの所有者や管理者にとって、「いつ、どのようなタイミングで塗装をすべきなのか？」「どのような流れで塗装工事が進むのか？」「費用の相場はどの程度なのか？」など、具体的な知識がないと、どのタイミングで塗装を行うべきか、適切な決定をすることが難しくなるかもしれません。

そこでこの記事では、「アパートの外壁塗装の耐用年数」を中心に、アパートの外壁塗装の必要性や適切な塗装タイミング、外壁塗装の流れや費用相場、そして適切な施工業者の選び方などを、アパマン修繕プロが徹底解説していきましょう。

アパートの外壁塗装の必要性

外壁塗装は美観を保つだけのように思われがちですが、それだけではなく、建物の防水性や耐久性を維持するための重要な役割も果たしています。

したがって、外壁塗装は単なる見た目の問題ではなく、アパートの寿命を延ばし、資産を維持するためにも重要なメンテナンス作業と言えるでしょう。

ここでは、外壁塗装の必要性について、アパート経営を行う上で外壁塗装はどういった意味を持つのか、詳しくご紹介していきましょう。

・美観を保つことができる

外壁塗装が持つ最初の重要な機能は、アパートの美観を保つことです。

建物が年月と共に外部的な要素や環境的な影響にさらされることにより、徐々に色あせたり、汚れたりするのを防ぐ役割を果たします。

美しい外観はアパート自体の価値を高め、その外観イメージを決定づける重要な要素となります。

定期的に外壁塗装を行うことによって、アパートが新築時の輝きを保ち続け、鮮やかな色彩を維持することができるのです。

さらに、美観を保つことは居住者の満足度や快適性にも直結します。

綺麗な外観は居住者の心地よさや安心感を向上させ、その結果として住みやすい環境を提供することができます。

外観が美しいアパートは、住む人にとっては自宅への誇りを感じさせ、訪れる人々にとっては好印象を与えるでしょう。

加えて、美観を保つことはアパートの評価にも影響を与えます。

見た目が良好なアパートは、近隣地域に対する注目度を高めるとともに、地域全体の景観向上に貢献します。また、新たな入居者を惹きつける力もあります。

アパートを選ぶ際、外観の印象は大きな判断基準の一つとなりますので、美観を保つことは入居率アップにも繋がるのです。

・建物の防水性を高めることができる

アパートの外壁塗装は、単に見た目の美しさを保つだけではなく、建物の防水性を高めるという非常に重要な機能も果たしています。

そのため、建物自体の寿命を延ばし、長期的なメンテナンスコストを抑えるために不可欠です。

外壁塗装によって強固な塗膜が形成されることで、建物が雨水などの湿気から直接影響を受けるのを防ぐ役割があります。

塗膜は、雨水や湿気が建物の構造体に侵入するのを防ぎ、建物の耐久性に重要な防水性の維持に直結します。

防水性が保たれていることで、建物の内部への水分の侵入を防ぎ、結露やカビ、さらには鉄部の錆などの問題を抑制します。

次に、外壁材や屋根材自体は、塗装することによって初めてその防水性を発揮することができます。

特に、建材は、自然のままでは水分を吸収しやすく、耐久性に欠ける傾向にあります。

これらに塗料を塗布することで、雨水などから建物を守ることが可能となります。

そのため、定期的に塗装作業を行わないと、外壁材や屋根材は次第にその機能を失ってしまいます。

天候の影響や経年劣化により塗膜がはがれたり、ひび割れを起こしたりすると、その下の建材が直接水分や風雪に晒され、腐食や損傷を起こす可能性があります。

それが結果として、建物の寿命を短くしたり、修繕費用が増大したりする可能性もあります。

・建物の耐久性を維持することができる

外壁塗装のもう一つの大きな役割は、建物の耐久性を維持することです。特にアパートのような大規模な建物においては、非常に重要な作業と言えます。

先述した通り、防水性の高さは直接的に建物の耐久性の維持につながります。

水分は建物の最大の敵であり、建物自体は水に弱い性質を持っています。

水が建物内部に浸入すると、腐食、雨漏り、シロアリの発生など、さまざまな問題が起きやすくなります。

これらの問題は、建物の構造を直接損傷させるだけでなく、居住者の健康や安全にも影響を及ぼす可能性があります。

例えば、水が浸入して腐食が進行すると、建物の強度が低下し、最悪の場合、建物が崩壊する危険性もあります。

また、雨漏りが発生すると、室内の湿度が高まり、カビが発生しやすくなります。すると、居住者の健康を害する可能性があります。

さらに、湿気や水分があるところにはシロアリが発生しやすく、シロアリによる木材の食害は、建物の耐久性を大きく損なう原因となります。

これらの問題を防ぐためには、建物の防水性を確保することが必要です。外壁塗装により強固な塗膜を形成し、建物を湿気から守ることで、建物の耐久性を維持することが可能となります。

また、外壁塗装は、建物を紫外線や風雨から守り、劣化を防ぐ役割も果たします。これにより、建物の耐久性をさらに高め、建物の寿命を延ばすことができます。

アパートの外壁塗装の耐用年数

外壁塗装の耐用年数は、その塗装がどの程度の期間、効果を持続させるか、つまり建物を保護し続けるかを示す重要な指標となります。

塗装のタイミングは一般的には『10年』と言われますが、塗装の種類や塗料のグレードなど、いくつかの要素に影響を受けるため、10年と言い切ることはできません。

そのため、外壁を適切に管理することで、効果的な外壁塗装の維持が可能となります。

ここでは、アパートの外壁塗装の耐用年数について、塗装のタイミングや塗料の選び方、施工方法など、外壁塗装の耐用年数を最大限に延ばすためのポイントをご紹介します。

・外壁塗装のタイミング

アパートの外壁塗装を行う適切なタイミングは、大きく分けて二つの要素で決まります。それが「塗装した塗料に応じた耐用年数」、「塗膜の劣化の状態」の2つです。

これらを合わせて判断することで、最適な塗装のタイミングを把握することができます。

まず、塗装した塗料に応じた耐用年数について見てみましょう。塗装に使われる塗料の種類によって、その耐用年数は大きく変わります。

一般的によく活用されているシリコン塗料であれば、その耐用年数はおおよそ10年から15年程度です。

シリコン塗料は人気が高いために塗料メーカーの開発も著しく、近年においては高耐久性の製品も数々登場しています。

効果の長持ちと性能の良さから採用が増えているフッ素塗料であれば、その耐用年数は15年から20年程度となります。

そして、最も性能が高いとされる無機塗料であれば、その耐用年数は20年から25年程度と長くなります。

このように、どの塗料を選ぶかによって、次の塗装までの期間が大きく変わるため、塗装する際の予算や計画に合わせて最適な塗料を選ぶことが重要です。

実際の外壁塗装のタイミングは、塗料の耐用年数だけでなく、外壁の状態を実際に確認して判断することが重要です。

特に注目すべきなのが、色褪せ、チョーキング現象、ひび割れです。これらは塗膜の劣化を示すサインであり、塗装の必要性を示しています。

色あせが始まると、それは塗膜の劣化が始まった証となります。塗料の色が褪せてきたら、その時点で外壁の保護機能が弱まり始めている可能性があります。

また、チョーキング現象とは、塗膜が劣化し、表面が白く粉状になる現象のことを言います。これが見られたら、そろそろ塗り替えの検討を始めるべきタイミングです。

さらに重要なのがひび割れです。塗膜がひび割れてしまうと、そこから水分が浸入し、建物の耐久性を大きく損なう可能性があります。

ひび割れが見つかった場合、早めに塗装業者に相談し、対策を講じることが必要です。

このように、塗装のタイミングは耐用年数と外壁の状態を組み合わせて考えることが重要です。

・塗料のグレードによって異なる

外壁塗装の耐用年数に大きな影響を及ぼす要素の一つが、選択する塗料のグレードです。

前述のように、塗料の種類によって、その持つ耐用年数は大きく異なります。この違いは、塗装のタイミングを決める重要な基準となります。

一般的にシリコン塗料は、耐用年数が10年から15年という耐久性を持ちます。塗料の中でも比較的手頃な価格でありながら、十分な性能を発揮するものと言えるでしょう。

一方、フッ素塗料は、耐用年数が15年から20年と、より長く保護力を維持することができます。

そして最も高グレードの無機塗料は、耐用年数が20年から25年となります。これは、建物の保護を最も長く、確実に行うことが可能な塗料と言えます。

しかし、このグレードが高くなるにつれて、その塗料の価格も高くなる傾向にあります。

無機塗料は最も高いグレードであり、それに伴い費用負担も高くなります。そして、耐久性が最も高いために、長期的に見ると再塗装の必要が出てくるまでの時間が長くなるため、長い目で見ると経済的であると言えるのです。

そのため、塗料の選択にあたっては、一時的な費用負担を抑えたいのか、それとも長期的なコストパフォーマンスを重視するのか、という視点が必要です。

初期費用を抑えたい場合や、近い将来のリニューアルを予定している場合は、シリコン塗料が適しているかもしれません。

一方、長期的な建物の価値を保ちたい、メンテナンスの手間を抑えたいといった場合には、フッ素塗料や無機塗料の選択を検討する必要があります。

アパートの外壁塗装の取り組み～流れや費用相場について

塗装作業は、多くの工程を経て行われるため、アパートで取り組む際にはその工程を理解して、居住者から理解や協力を得ることが大切になります。

また、適切な予算設定を行うためには、その費用相場を把握しておくことも重要です。

ここでは、アパートの外壁塗装に実際に取り組む際の流れや費用相場について詳しく解説します。

・外壁塗装の流れ

外壁塗装は一見単純な作業のように思えますが、実際には多くの工程が存在し、そのひとつひとつが重要な役割を果たしています。

アパートの外壁塗装の基本的な流れについては、次の通りです。

①足場の設置・防水シートの設置

塗装作業を始める前に、まず足場を設置します。これは作業者が高所作業を安全に行えるようにするためのものです。足場には防水シートをかけ、作業中の塗料飛散を防ぎます。

②高圧洗浄
外壁についている汚れや古い塗膜を取り除くために、高圧洗浄機を使用します。これにより、新たに塗る塗料がきちんと外壁に密着するようになります。

③下地調整
高圧洗浄後、外壁のクラック（ひび割れ）や劣化部分を補修します。

④下塗り

下地調整後、下塗り塗料を塗装します。これが下塗りと呼ばれる工程で、塗料と外壁との密着性を高める役割があります。

⑤中塗り

下塗りに続いて行われるのが中塗りです。

⑥上塗り

最後に行う塗装が上塗りです。これは外壁の色や艶を決定する最終工程で、耐久性を高める役割もあります。

⑦点検

上塗り後、一度全体を点検します。ムラや塗り残しがないか確認し、必要に応じて修正します。

⑧足場解体

全ての作業が終わったら、足場を解体します。この時点で、外壁塗装作業は完了となります。

アパートの規模にもよりますが、一般的には10日から2週間程度の日程が必要になることを覚えておきましょう。

・外壁塗装の費用相場

外壁塗装には様々な費用が伴いますが、具体的な相場を知っておくことで、より適切な予算計画を立てることが可能となります。

一般的に、2階建てのアパートの外壁塗装の費用相場は『200〜300万円程度』となっています。

しかし、この費用はあくまで参考であり、実際の費用はさまざまな要素によって変動します。

アパートの大きさや、外壁の面積によって、必要となる塗料の量や作業時間が変わるため、塗装の費用も変わります。

また、前述の通り、塗料の種類やグレードによっても費用は大きく変わります。

例えば、シリコン塗料の費用相場は1,700円〜3,500円／㎡と比較的費用が抑えられる一方、フッ素塗料は3,000円～5,100円／㎡、無機塗料は4,400円～5,500円／㎡と高価になります。

しかし、高価な塗料ほど耐用年数が長く、長期的に見ればコストパフォーマンスが良いともいえます。

施工業者によっても費用は異なります。

それぞれの業者が提供するサービスの内容や品質、付帯サービスなどを確認し、総合的なコストパフォーマンスを考慮することが重要です。

まとめ

この記事では、アパートの外壁塗装の耐用年数を中心に、塗装の取り組みについて詳しく解説しました。

まず、外壁塗装の必要性については、美観の維持、建物の防水性の強化、そして建物の耐久性の維持に大きく寄与するという3つの観点から説明しました。

これらの要素は、アパートの価値を高め、入居率を向上させ、長期的には管理費用を削減するという利点をもたらします。

外壁塗装の耐用年数については、塗料の種類やグレードによっても異なり、実際の塗装のタイミングについては、塗装の状態や塗膜の劣化状況を定期的にチェックすることが重要です。

外壁塗装の取り組みについては、具体的な作業の流れや費用相場についても解説しましたが、それらを理解し、施工業者に相談しながら進めていくことが大切です。

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