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この大規模修繕には高額な費用がかかるため、多くのオーナーや管理組合は頭を悩ませています。
費用は一体どれくらいかかるのか、どのように資金を調達すればよいのか、そして何よりも費用をどうやって抑えることができるのか、大規模修繕を前にした多くの人が抱える疑問です。
そこでこの記事では、大規模修繕の工事別の費用相場について詳しく解説します。
外壁塗装、屋根防水、床防水、鉄部塗装などとといった主要な工事項目に焦点を当て、それぞれの費用相場を提供していきます。
さらに、費用が不足する場合の対処法や、費用を抑えるための具体的な方法についても触れていきますので、ぜひ大規模修繕を控えたマンションオーナー、管理組合、アパートの大家さんなどにご活用いただければと考えております。
大規模修繕の工事別の費用相場はどれくらい?
大規模修繕というと、多くの人が「高額な費用がかかる」と感じるでしょう。
確かに、その費用は決して安くはありませんが、それぞれの工事項目によって費用は大きく異なります。
外壁塗装、屋根防水、床防水、鉄部塗装など、各工事項目にはそれぞれ独自の費用相場が存在します。
ここでは、大規模修繕の各工事項目ごとの費用相場に焦点を当て、国土交通省が発表した『令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査』のデータに基づいて、詳しく解説していきます。
・外壁塗装の費用相場
外壁塗装は、大規模修繕工事の中でも特に重要な工事項目の一つです。その費用は、全体の工事費用に占める割合が大きいため、しっかりと計画を立てる必要があります。
国土交通省のデータによると、外壁塗装の工事金額は全体の24.5%を占めています。これは、大規模修繕工事の中で最も大きな割合を占める項目であり、その重要性がうかがえます。
大規模修繕工事の工事金額は、マンションの戸数によっても変動します。
具体的には、20戸以下のマンションでは工事金額が「2000万円以下」、21〜30戸のマンションでは「4000万円以下」である割合が多くなっています。
これらのデータを基に、外壁塗装の費用相場を計算すると、次のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、外壁塗装の費用相場はその24.5%として、約490万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約980万円となります。
このように、外壁塗装の費用は全体の工事費用の約4分の1を占めるため、予算計画においては特に注意が必要です。
・屋根防水の費用相場
屋根防水は、大規模修繕工事においても非常に重要な工事項目です。
マンションの陸屋根(屋上)の防水工事がこれに該当します。その費用は、全体の工事費用に占める割合も大きく、計画段階でしっかりと考慮する必要があります。
国土交通省のデータによれば、屋根防水の工事金額は全体の13.4%を占めています。
外壁塗装の費用でも用いたデータを基に、屋根防水の費用相場を計算すると以下のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、屋根防水の費用相場はその13.4%として、約268万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約536万円となります。
このように、屋根防水の費用は全体の工事費用の約8分の1程度を占めることがわかります。
・床防水の費用相場
床防水は、大規模修繕工事においても非常に重要な工事項目で、マンションのベランダやバルコニーの防水工事がこれに該当します。
その費用は、全体の工事費用に占める割合も大きく国土交通省のデータによれば、床防水の工事金額は全体の18.6%を占めています。
大規模修繕工事の中でも大きな割合を占める項目であり、その重要性が高いです。
大規模修繕工事のデータを基に、床防水の費用相場を計算すると以下のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、床防水の費用相場はその18.6%として、約372万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約744万円となります。
このように、床防水の費用は全体の工事費用の約5分の1程度を占めることがわかります。そのため、
・鉄部塗装の費用相場
鉄部塗装は、大規模修繕工事においても比較的小さな割合を占めるかもしれませんが、その重要性は非常に高いです。
マンションの手すりや階段、ゲートなどの鉄部に対する塗装工事がこれに該当します。
その費用は、全体の工事費用に占める割合もそれなりにあり、計画段階でしっかりと考慮する必要があります。
国土交通省のデータによれば、鉄部塗装の工事金額は全体の7.4%を占めています。
大規模修繕工事の工事金額のデータを基に、鉄部塗装の費用相場を計算すると以下のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、鉄部塗装の費用相場はその7.4%として、約148万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約296万円となります。
このように、鉄部塗装の費用は全体の工事費用の約10分の1程度を占めることがわかります。
・外壁タイルの費用相場
外壁タイルは、大規模修繕工事においても非常に重要な工事項目であり、マンションの外壁タイルの浮きや剥がれの修繕、張り替えなどがこれに該当します。
その費用は、全体の工事費用に占める割合も大きく、国土交通省のデータによれば、外壁タイルの工事金額は全体の12.9%を占めています。
大規模修繕工事の工事金額のデータを基に、外壁タイルの費用相場を計算すると以下のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、外壁タイルの費用相場はその12.9%として、約258万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約516万円となります。
このように、外壁タイルの費用は全体の工事費用の約8分の1程度を占めることがわかります。
・シーリング工事の費用相場
シーリング工事は、大規模修繕工事においても非常に重要です。
マンションの外壁の目地などに充填されているシーリングを打ち替え、もしくは増し打ちする工事がこれに該当します。
その費用は、全体の工事費用に占める割合も大きく、国土交通省のデータによれば、シーリング工事の工事金額は全体の12.0%を占めています。
大規模修繕工事の工事金額のデータを基に、シーリング工事の費用相場を計算すると以下のようになります。
20戸のマンションで2000万円の工事費用がかかる場合、シーリング工事の費用相場はその12.0%として、約240万円となります。
30戸のマンションで4000万円の工事費用がかかる場合、約480万円となります。
このように、シーリング工事の費用は全体の工事費用の約8分の1程度を占めることがわかります。
以上の情報を踏まえて、費用計画を立てる際には、全体の工事費用だけでなく、戸数やそれぞれの工事が占める割合も考慮することが重要です。
大規模修繕の費用が不足する場合の対処法
大規模修繕工事は、マンションやアパートなどの集合住宅にとって避けては通れない大きなイベントです。
しかし、多くの場合、このような大規模な工事には高額な費用がかかります。計画段階での見積もりと実際の工事費用が合わないケースも少なくありません。
特に、急な価格変動や予期せぬトラブルが発生した場合、計画していた予算を超えてしまう可能性があります。
このような状況に陥ったとき、どのように対処すればよいのでしょうか。費用が不足すると、そのまま工事を進めることは困難ですし、質の低い工事になってしまう可能性もあります。
そのため、費用が不足した場合の対処法を事前に知っておくことは、非常に重要です。
・一時金の徴収
大規模修繕工事の進行中に費用が不足すると、その解決策の一つとして「一時金の徴収」が考えられます。
この方法は、住民から一度に必要な金額を集める方法であり、その最大の利点は金利や手数料が発生しない点にあります。
また、一時金を徴収することで、急な資金不足を即座に補うことが可能です。
しかし、この方法にはいくつかの課題も存在します。
まず、各世帯が突如として高額な費用を支払えるかどうかは、その家庭の経済状況に左右されます。
国土交通省の調査によれば、管理費や修繕積立金の滞納があると回答する管理組合も存在するため、一時金をスムーズに集めるのは容易ではありません。
さらに、住民間での合意を形成する過程もスムーズに進むとは限りません。
そのため、一時金の徴収を検討する際には、分割払いのオプションも考慮に入れるべきです。
大規模修繕工事の費用は通常、契約時や完了時といった、いくつかの段階で支払われることが多いです。
この支払いスケジュールに合わせて、住民からの一時金も分割して徴収することで、負担を多少なりとも軽減することが可能です。
以上のように、一時金の徴収は即時の資金調達が可能な一方で、住民の負担や合意形成の難しさも考慮しなければならない複雑な選択肢です。
それでも、緊急時には有効な手段となる可能性がありますので、慎重な検討が必要です。
・金融機関のローンを活用する
大規模修繕工事において、費用が不足した場合の一つの解決策として、金融機関からのローンを活用する方法があります。
特定の金融商品が用意されている場合が多く、比較的スムーズに資金調達が可能である点が挙げられます。
例えば、民間銀行では「マンション共用部分専用リフォームローン」といった特定のローン商品が存在します。
一般的には、ローンで借りられる上限額は、工事費用の一定割合(80%程度)、もしくは一戸あたりの費用から算出した総額のいずれか低い方といった条件が設けられています。
また、住宅金融支援機構からも「マンション共用部リフォーム融資」が受けられる場合があります。
この融資を活用すれば、対象となる工事費全額を借り入れることができる点や、工事の内容に応じて返済期間を柔軟に設定できる点があります。
しかし、ローンを組む前には、必ず管理組合の総会での決議が必要です。これは、住民全体での合意が必要なため、事前の調整と説明が不可欠です。
・工事内容に優先順位を付ける
大規模修繕工事において、費用が不足する場合、工事内容に優先順位をつけて段階的に実施するという手法があります。
緊急性の高い工事だけを先に行い、一時的な費用負担を軽減できます。
例えば、外壁塗装や屋根防水など、特に重要な工事を先に行い、次回の工事で他の項目をカバーするという方法が考えられます。
しかし、このように工事を分割する場合、その後の工事計画や住民からの徴収金の見直しが必要になることもあります。
工事に優先順位を付ける場合、長期修繕計画自体の見直しも重要です。
多くのマンションでは新築時に一定の長期修繕計画が作成されていますが、マンションの状況に合っていない可能性があります。
国土交通省のガイドラインでも、長期修繕計画は5年ごとに見直すことが推奨されています。
大規模修繕の費用を抑えるには
大規模修繕はマンションやアパート、その他の多住戸建築物にとって避けては通れない大きなイベントです。しかし、その費用は決して安くありません。
多くの場合、数千万円以上、場合によっては億を超えることもあります。
そこで、ここでは、大規模修繕の費用をいかに効率よく抑えるかについて詳しく解説します。
・大規模修繕計画を立てる・見直す
大規模修繕計画をしっかりと立て、定期的に見直すことは、修繕費用を効率的に抑えるために不可欠です。
計画を立てることで、どのような修繕が必要なのか、それにどれくらいの費用がかかるのかを明確にすることができます。
無駄な出費を防ぐだけでなく、必要な修繕に確実に資金を振り分けることができます。
しかし、一度立てた計画が永遠に有効であるわけではありません。
建物の老朽化の進行具合や新しい修繕技術の登場、さらには材料費の変動など、多くの要素が計画に影響を与えます。
そのため、定期的な見直しは必須です。国土交通省も、大規模修繕計画は5年ごとに見直すことを推奨しています。
さらに、計画を住民や利用者と共有することで、その透明性が高まります。
透明性が高いと、住民も計画に納得しやすく、積立金の滞納が減少する可能性があります。
管理組合の総会で計画を詳しく説明し、住民からの意見や質問に答えることで、より現実的で合意を得やすい計画にすることができます。
・定期的な修繕
定期的に大規模修繕工事を行うことで、建物の長期的な維持が可能になります。そのためには、どの内容の工事をいつ行うかをしっかりと計画することが不可欠です。
計画を立てる過程で、建物の現状を詳細に調査することも重要です。
劣化の度合いや緊急性に応じて、工事の優先順位をつけることができます。また、計画を立てることで、必要な費用も事前に把握でき、住民への負担も計算しやすくなります。
さらに、計画的に大規模修繕工事を行うことで、住民もその必要性とタイミングを理解しやすくなります。
これが、管理組合での合意形成をスムーズにし、工事の進行を円滑にするためにも有効です。
・こまめな小修繕
大規模修繕工事は確かに重要ですが、それだけに頼るのではなく、日常的に小修繕を行うことも同じくらい重要です。
小修繕とは、例えば壁のひび割れや水漏れ、照明の不具合など、小さな問題を早めに修繕することを指します。
これらの小さな問題が放置されると、時間とともに大きな問題に発展する可能性があります。
例えば、壁の小さなひび割れが放置されると、その部分から水が浸入し、結果的に大規模な修繕が必要になるケースもあります。
こうした事態を避けるためには、定期的な点検と、必要に応じた小修繕が不可欠です。
小修繕をこまめに行うことで、大規模修繕工事が必要になる前に問題を解決できます。
これにより、大規模修繕の工事内容を変更し、費用を抑えることができるのです。
また、小修繕は住民自身が気づきやすい問題も多いため、住民と管理組合が協力して行える点も大きなメリットです。
まとめ~川崎市の大規模修繕なら
この記事では、大規模修繕工事の各種費用相場から、費用が不足する場合の対処法、さらには費用を抑える方法について詳しく解説しました。
大規模修繕工事はマンションやビルの長期的な維持に不可欠ですが、その費用や計画には多くの課題があります。
費用の相場を理解し、不足する場合の対処法を知ること、そして費用を抑えるための戦略を練ることが重要です。
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