「外壁にひび割れが…」
「補修しておいた方がいいの?」
マンションの外壁にひび割れが発生した場合、そのまま放置してしまうとどのようなリスクがあるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。
外壁のひび割れに対する適切な修繕方法について知ることは、マンション関係者にとって非常に重要です。
美観の問題だけでなく、建物の構造的な問題や住民の安全性にも関わるため、ひび割れの発生時には迅速かつ適切な対策が求められます。
本記事では、川崎市で大規模修繕専門店を営む私たちが、ひび割れを放置した場合のリスクやその修繕方法について詳しく解説します。
マンションの外壁に関する問題を理解し、適切な対応を取ることで、マンションの資産価値を守り、安全で快適な住環境を維持することが可能です。
ぜひ、最後までご覧いただき、大切なマンションの維持管理に役立ててください。
目次
マンション外壁のひび割れを放置したらどうなる?
マンションの外壁にひび割れができたとき、「これくらい大丈夫だろう」と思って放置してしまうことがあるかもしれません。
しかし、ひび割れをそのままにしておくと、見た目だけの問題では済まない深刻なリスクが発生する可能性があります。例えば、建物の美観が損なわれて資産価値が下がったり、外壁内部が腐食して雨漏りが発生したりすることがあります。
このように、ひび割れを放置するとさまざまな問題が起こり得るため、早めに対策を講じることが重要です。
本記事では、マンション外壁のひび割れを放置することのリスクと、具体的な修繕方法について詳しく解説していきます。
美観を損なう・資産価値の低下
マンションの外壁にひび割れがあると、まず目に見えて分かるのはその見た目です。建物の外観が悪くなることで、住んでいる方や訪れる人に対してもネガティブな印象を与えてしまいます。
きれいな外観は住む人の気持ちを明るくするだけでなく、周囲の環境にも良い影響を与えます。しかし、ひび割れた外壁を放置すると、その美観が損なわれ、建物全体の印象が悪くなってしまいます。
また、美観が損なわれることで、マンションの資産価値にも大きな影響を与えます。購入を検討している人や、賃貸物件を探している人は、外観の状態を重視することが多いです。
ひび割れが目立つマンションは、見た目だけで敬遠されることがあり、その結果、売却価格や賃貸料が下がることにつながります。資産価値が低下することで、オーナーや管理組合にとっても経済的な損失となります。
さらに、ひび割れを放置すると、それが原因で他の部分にもダメージが広がる可能性があります。外壁のひび割れから水が浸入し、内部の鉄筋が腐食すると、修繕費用も増大します。結果的に、初期段階での修繕に比べて、放置したことによるトータルの費用が大きくなってしまうことがあります。
外壁内部の腐食・雨漏り
マンションの外壁にひび割れが発生すると、そのままにしておくと外壁内部の腐食が進行する可能性があります。
ひび割れから雨水が浸入すると、外壁の内部構造にまで水が達し、鉄筋が錆び始めます。鉄筋の錆は膨張し、さらにコンクリートを押し広げる力が働くため、ひび割れが広がり、より深刻な構造的な問題へと発展します。
雨漏りも大きな問題の一つです。外壁のひび割れから浸入した水が内部に溜まり、壁の裏側や天井、床などに水が染み込むことがあります。
このような状況になると、室内のカビの発生や、内装材の劣化を招き、住環境が悪化します。カビは健康にも悪影響を及ぼし、特にアレルギー体質の方や小さなお子様、高齢者にとっては深刻な健康リスクとなります。
さらに、雨漏りが発生すると、その修繕費用も大幅に増加します。ひび割れの段階で早期に対処していれば、比較的少ないコストで修繕できるのに対し、雨漏りが進行して内部構造にまで被害が及ぶと、大規模な修繕が必要となり、多額の費用がかかることになります。
爆裂現象
マンションの外壁にひび割れが生じたまま放置すると、最悪の場合「爆裂現象」が発生することがあります。
爆裂現象とは、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、その圧力によってコンクリートが破裂する現象を指します。この現象は、外壁のひび割れから浸入した水分が原因で起こります。
鉄筋が錆びると、元の体積の約2〜4倍に膨張します。この膨張による圧力で、周囲のコンクリートが内側から押し広げられ、最終的にはコンクリートが破裂してしまいます。爆裂現象が起こると、外壁の大きな部分が剥がれ落ちることもあり、その下にいる人や物に対して重大な危険を及ぼします。
さらに、爆裂現象が起きると、その部分だけでなく周囲のコンクリートも影響を受けやすくなります。外壁全体の構造的な強度が低下し、マンション全体の耐震性や耐久性にも悪影響が出る可能性があります。
また、爆裂現象が発生すると、その修繕には多額の費用がかかります。単純なひび割れ補修では済まないため、大規模な修繕工事が必要となり、オーナーや管理組合にとって大きな負担となります。早期のひび割れ補修を怠ると、結果的に修繕費用がかさむことになるのです。
耐震性・耐久性の低下
マンションの外壁にひび割れが生じると、その放置は建物の耐震性と耐久性に深刻な影響を与える可能性があります。ひび割れが進行することで、建物全体の構造的な強度が低下し、特に地震時に大きなリスクとなります。
上記でもお伝えした通り、ひび割れから雨水が浸入し、内部の鉄筋が錆びて膨張することで、コンクリートが破壊される爆裂現象が発生することがあります。これにより、鉄筋コンクリート構造の主要な部分が損傷し、建物の耐震性が著しく低下します。耐震性の低下は、地震が発生した際に建物が倒壊するリスクを高め、住民の安全を脅かします。
また、ひび割れが進行することで建物の耐久性も低下します。コンクリートの劣化が進むと、外壁全体が脆くなり、長期的な耐久性が損なわれます。これは、建物の寿命を縮める原因となり、将来的にさらなる修繕や改修工事が必要となる可能性が高まります。特に、マンションのような大型の建物では、一部の劣化が全体の耐久性に大きな影響を与えるため、早期の対応が求められます。
さらに、耐震性や耐久性が低下することで、住民の生活にも影響が出ます。例えば、建物が地震に対して十分な耐性を持たない場合、住民は常に不安を抱えて生活することになります。また、外壁の劣化が進行すると、室内環境にも悪影響が及び、快適な住環境を維持することが難しくなります。
マンション外壁のひび割れの原因
マンションの外壁にひび割れが生じる原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。これらの原因を理解することで、ひび割れを未然に防ぐ手立てや、適切な対策を講じることが可能になります。
ここでは、具体的なひび割れの原因について詳しく説明します。
コンクリート外壁の乾燥収縮・気温の変化
マンションの外壁にひび割れが発生する原因の一つに、コンクリートの乾燥収縮と気温の変化があります。。
まず、コンクリートは水とセメント、砂、砂利などを混ぜて作られます。コンクリートが固まる過程で水分が蒸発し、乾燥します。このとき、コンクリートはわずかに収縮します。この乾燥収縮が原因で、表面にひび割れが発生することがあります。
特に、新築後の初期段階でよく見られる現象です。この収縮は自然なものですが、ひび割れの発生を抑えるためには適切な養生(乾燥をゆっくりと行うための管理)が重要です。
次に、気温の変化もコンクリートのひび割れに大きな影響を与えます。コンクリートは気温が高くなると膨張し、低くなると収縮する性質があります。この膨張と収縮を繰り返すことで、外壁にストレスがかかり、ひび割れが発生することがあります。特に、昼夜の温度差が大きい地域や季節の変わり目にひび割れが見られやすいです。
例えば、真夏の日中は気温が高く、夜になると急激に冷え込むような環境では、外壁が昼間に膨張し、夜に収縮することが繰り返されます。この温度差による膨張と収縮が外壁にひび割れを引き起こす原因となります。
コンクリートの中性化
マンションの外壁にひび割れが生じる原因の一つに「コンクリートの中性化」があります。中性化とは、コンクリート内部のアルカリ性が空気中の二酸化炭素と反応して中性になる現象です。この中性化が進行すると、外壁にさまざまな問題が発生します。
まず、コンクリートは通常、アルカリ性を保っています。アルカリ性の環境は、コンクリート内部の鉄筋を錆から守る役割を果たしています。しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリートの表面から内部に侵入し、反応が進むとコンクリートが中性化します。この過程で、鉄筋を保護するアルカリ性が失われ、鉄筋が錆びやすくなります。
鉄筋が錆びると、その体積が増加します。錆びた鉄筋は膨張し、周囲のコンクリートに圧力をかけます。この圧力によって、コンクリートにひび割れが発生します。ひび割れが生じると、その隙間からさらに水分や二酸化炭素が侵入し、中性化が進行しやすくなります。この悪循環により、ひび割れが広がり、建物全体の耐久性が低下します。
振動や衝撃
マンションの外壁にひび割れが発生する原因の一つとして、振動や衝撃があります。これは建物が外部から受ける力によって、構造にストレスがかかり、その結果としてひび割れが生じる現象です。振動や衝撃によるひび割れは、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。
まず、地震が代表的な原因です。地震は建物全体に強い振動を与え、特に高層マンションではその影響が顕著です。地震によって建物が揺れると、コンクリートにひびが入ることがあります。
また、交通振動もひび割れの原因となります。例えば、マンションが幹線道路や鉄道の近くに立地している場合、日常的に発生する車や電車の振動が建物に伝わります。このような振動が長期間にわたって繰り返されると、外壁にひび割れが生じることがあります。
さらに、建設工事も外壁に衝撃を与える原因です。隣接する建物の建設工事や道路工事などで発生する重機の動きや打撃音は、マンションの外壁にストレスを与えることがあります。特に、基礎工事や杭打ち工事などで発生する大きな振動は、ひび割れを引き起こすリスクが高いです。
例として、あるマンションが隣接する新しいビルの建設工事中に外壁にひび割れが生じたケースがあります。この場合、工事による振動が原因でコンクリートがダメージを受け、ひび割れが発生したのです。このような事例は、工事開始前に適切な振動対策を講じることで防ぐことができます。
施工不良(コールドジョイント)
マンションの外壁にひび割れが生じる原因の一つに、施工不良(コールドジョイント)があります。コールドジョイントとは、コンクリートの打設が途中で中断され、再開する際に新旧のコンクリートが完全に一体化せずにできる境界面のことを指します。この施工不良が原因でひび割れが発生することがあります。
コールドジョイントが発生する理由はさまざまですが、一般的には以下のような状況が考えられます。
①コンクリートの打設中断
コンクリートの打設作業が中断されると、新たに打設されるコンクリートと既に固まりかけたコンクリートの間に十分な接着が得られません。これにより、弱い境界面が形成され、ひび割れが発生しやすくなります。
②施工時間の遅れ
コンクリート打設のタイミングが遅れた場合、既に打設されたコンクリートが固まり始め、後から打設されるコンクリートとしっかりと結びつかなくなります。これにより、コールドジョイントが形成され、ひび割れの原因となります。
③不適切な打設方法
コンクリート打設時に適切な方法が採用されないと、コールドジョイントが発生しやすくなります。例えば、打設中に振動を加えることや、適切な圧力で均一に打設することが重要ですが、これらが不十分だと施工不良が起こります。
コールドジョイントが原因で発生したひび割れは、単に見た目の問題だけでなく、建物の構造的な強度にも影響を与えます。特に、コールドジョイントの部分は耐久性が低く、水分が浸入しやすいため、内部の鉄筋が錆びやすくなり、さらに大きなひび割れや構造の劣化を引き起こす可能性があります。
マンション外壁のひび割れの補修方法
マンションの外壁にひび割れが見つかったときにどのように対処すればよいのでしょうか?適切な補修方法を知ることで、ひび割れがもたらすリスクを最小限に抑え、マンションの資産価値を維持することができます。
ここでは、マンション外壁のひび割れに対する具体的な補修方法を詳しく解説します。
微弾性フィラー擦り込み(被覆工法)
マンションの外壁にひび割れが発生した場合、その補修方法の一つに「微弾性フィラー擦り込み(被覆工法)」があります。この方法は、主に小さなひび割れや表面的な劣化に対して効果的です。
微弾性フィラーとは、弾性(柔軟性)を持つ特殊なフィラー材のことです。このフィラー材をひび割れ部分に擦り込むことで、ひび割れを埋めると同時に、外壁の表面を保護します。弾性があるため、外壁が温度変化や振動によって多少動いても、ひび割れが再発しにくくなるという利点があります。
微弾性フィラー擦り込み工法のメリットは、比較的簡単な作業でひび割れを補修できる点と、材料の弾性により将来的なひび割れ再発を防ぐ効果がある点です。特に、気温の変化や振動の影響を受けやすい外壁には適した補修方法と言えます。
充填工法(Vカット・Uカット補修)
マンションの外壁に発生したひび割れを補修する方法の一つに「充填工法」があります。この工法は、ひび割れの部分をV字またはU字にカットしてから、補修材を充填する方法です。特に、深いひび割れや広がりつつあるひび割れに対して効果的です。
充填工法は、深いひび割れや構造的な問題を抱えたひび割れに対して非常に効果的です。しっかりとカットしてから補修材を充填することで、ひび割れの再発を防ぎ、建物の耐久性を向上させることができます。また、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの高性能材料を使用することで、長期間にわたる耐久性が期待できます。
樹脂モルタル成型(被覆工法)
マンションの外壁にひび割れが発生した場合、その補修方法の一つに「樹脂モルタル成型(被覆工法)」があります。この方法は、ひび割れ部分に特殊な樹脂モルタルを塗布し、外壁を保護する工法です。特に、大きなひび割れや広範囲にわたる劣化に対して効果的です。
樹脂モルタルは、セメントモルタルに高分子樹脂を混ぜ合わせた材料です。この樹脂モルタルは、従来のセメントモルタルに比べて弾性があり、耐久性が高いのが特徴です。これにより、外壁のひび割れを効果的に補修し、再発を防ぐことができます。
エポキシ樹脂注入(注入工法)
マンションの外壁にひび割れが発生した場合、その補修方法の一つに「エポキシ樹脂注入(注入工法)」があります。
エポキシ樹脂は高強度で耐久性に優れた接着剤であり、この工法はひび割れの内部にエポキシ樹脂を注入して補修する方法です。特に、構造的な補修が必要な深いひび割れに対して効果的です。硬化後に非常に高い強度を持つため、ひび割れ部分を強固に補修することができます。
まとめ~川崎市のマンション大規模修繕なら
本記事では、マンション外壁のひび割れについて詳しくお伝えしました。ひび割れを放置することで起こるリスクや、具体的な補修方法について解説しました。
まず、ひび割れを放置することによるリスクとして、美観の損失や資産価値の低下、外壁内部の腐食や雨漏り、爆裂現象、そして耐震性や耐久性の低下が挙げられます。
ひび割れの原因についても詳しく説明しました。これらの原因を理解することで、予防策や早期発見の重要性がより明確になります。そして、ひび割れの具体的な補修方法についても紹介しました。それぞれの工法には特有のメリットがあり、ひび割れの状態や規模に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
外壁のひび割れを見つけたら、早急に専門家に相談し、適切な補修方法を選択することが大切です。早めの対策が、建物の美観や資産価値を維持し、住民の安全を守ることにつながります。
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