マンションの大規模修繕で外壁工事を計画しているものの、「実際にはどれくらいの期間がかかるのか」「工期中、住民の生活にどんな影響が出るのか」といった不安を抱えていませんか?特に管理組合の担当者にとって、初めての修繕であればなおさら、工事全体のスケジュールが見えにくく、戸惑うことも多いでしょう。
結論から言えば、外壁工事の工期はマンションの戸数や建物の状態、施工時期によって異なります。しかし、一般的な目安や工程ごとの期間を知っておくことで、より現実的で無理のない計画が立てられるようになります。
今回の記事では、マンションの外壁工事にかかる期間について、戸数別に詳しく解説します。
※マンションの大規模修繕で行う外壁工事の内容について、詳しく知りたい方は『【川崎市】マンションの大規模修繕で行う外壁工事とは?内容と劣化症状を徹底解説』をご覧ください。
大規模修繕における外壁工事とは?
大規模修繕の中でも、外壁工事は最も目に見えて分かりやすい工事であり、住民にとっても関心が高い工程です。外壁の美観や防水性能を維持することは、マンション全体の資産価値や住み心地にも直結します。とはいえ、外壁工事といってもその内容は多岐にわたり、具体的にどんな作業が行われ、どのタイミングで必要になるのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、まず外壁工事の基本的な目的や施工内容を明確にし、その工事がどのタイミングで行われるべきか、さらに大規模修繕全体の中でどのような位置づけにあるのかを整理して解説していきます。
外壁工事の目的と内容
外壁工事の主な目的は、「建物の美観を維持すること」「防水性能を確保すること」「構造の劣化を防ぐこと」の3つです。これらは、見た目の問題だけでなく、建物の寿命や住環境の快適性にも大きく影響します。
まず、美観の維持についてですが、外壁が劣化してくると色あせや汚れ、ひび割れが目立ち、建物全体が古びて見えるようになります。特にマンションの場合、外観は資産価値にも直結するため、定期的な補修や塗り替えは欠かせません。
次に、防水性能の確保です。外壁のひび割れやシーリング(隙間を埋めるゴム状の素材)の劣化が進むと、雨水の浸入リスクが高まります。これにより、建物内部への水漏れや鉄筋の腐食が起き、深刻な構造トラブルへと発展する可能性もあります。
最後に、建物構造の劣化防止です。外壁の下地にはコンクリートや鉄筋が使用されていますが、劣化が進むとその内部構造にも悪影響が及びます。特に爆裂(鉄筋の膨張でコンクリートが割れる現象)などの現象が見られる場合には、早急な補修が必要です。
外壁工事の内容には、主に「外壁塗装」「下地補修」「シーリング打ち替え」「洗浄作業」などが含まれます。いずれも外壁の防水性・耐久性を保ち、建物の安全性を維持するために不可欠な作業です。
外壁工事が必要なタイミング
外壁工事の必要性は、建物の築年数や立地環境、使用されている建材によって異なりますが、一般的には「築10年を過ぎた頃から劣化の兆候が現れる」と言われています。そして、築12年から15年を目安に初回の大規模修繕工事を計画するケースが多く見られます。
特に注意したいのは、以下のような劣化症状です。
・外壁に細かいひび割れがある
・塗装が剥がれて粉状になる(チョーキング現象)
・シーリングが硬化し、隙間が目立ってきた
・タイルの浮きやはがれが見られる
・雨漏りが起きたことがある
これらの症状は、いずれも防水機能の低下や下地の劣化が進んでいるサインです。放置しておくと、コンクリートの内部にまで水が浸透し、鉄筋の腐食や爆裂(コンクリートの破裂)といった重大な損傷を引き起こすリスクも高まります。
また、立地条件も重要な判断材料です。海沿いや高層階が多い地域では、塩害や風雨の影響を受けやすく、他の地域よりも劣化の進行が早い傾向にあります。そのため、目視点検や専門業者による打診調査などを定期的に行い、適切なタイミングでの外壁工事を検討することが大切です。
大規模修繕の中での外壁工事の位置付け
マンションの大規模修繕では、外壁工事は中心的な役割を担う工程のひとつです。全体の工程の中でも比較的期間が長く、住民生活への影響も大きいため、事前の計画と調整が非常に重要です。
一般的な大規模修繕の流れは、調査・診断から始まり、設計・仕様の決定、施工業者の選定、そして実際の工事へと進んでいきます。その中で、外壁工事は「足場の設置」からスタートし、「下地補修」「シーリング打ち替え」「高圧洗浄」「塗装・仕上げ」といった工程を経て、最終的に「足場解体」に至ります。これは全体工期の中でも大きな比重を占めており、工期全体の6~7割以上を外壁関連の作業が占めることも珍しくありません。
また、外壁工事は他の工事と密接に関連しています。例えば、屋上防水やバルコニーの補修なども同時に行われることが多く、それらの工程とスケジュールを調整しながら進める必要があります。さらに、住民への事前周知や掲示物の設置、工事中の安全確保など、管理組合が担うべき役割も多いため、しっかりとした準備が求められます。
外壁工事は建物の見た目だけでなく、防水性や構造的な安全性に大きく関わるため、決して省略できない重要な作業です。大規模修繕を成功させるためには、この外壁工事をいかに計画的に進めるかが、大きなカギを握っていると言えるでしょう。
マンションの戸数別・外壁工事期間の目安
マンションの外壁工事にかかる期間は、建物の規模や形状、外壁の劣化状況などによって異なりますが、最も大きな目安となるのが「戸数」です。戸数が多くなるほど足場の設置に時間がかかり、塗装や補修の作業範囲も広がるため、工事全体の期間も自然と長くなります。
とはいえ、明確な基準がないため、「うちのマンションではどれくらい工期が必要なのか」と不安に感じている管理組合の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、マンションの戸数別に工事期間の目安をわかりやすく整理し、一般的なスケジュール感を解説していきます。これから修繕を計画するうえでの見通しを立てるために、ぜひ参考にしてください。
小規模マンション(〜50戸)の工期目安
小規模マンションの場合、戸数が少ないため外壁の面積も比較的コンパクトで、工事全体の工程もシンプルになります。そのため、大規模修繕の外壁工事にかかる期間は、おおよそ3〜4ヵ月程度が一般的な目安です。
具体的な工程と期間のイメージは以下の通りです。
まず「足場の設置」には1〜2週間程度かかります。足場が完成したら「高圧洗浄」を行い、外壁の汚れをしっかり落とします。次に「下地補修」や「シーリングの打ち替え」などの下準備を行い、これに約2〜3週間ほどかかります。
その後、「外壁塗装」や「防水処理」に入りますが、この作業が工期の中で最も時間を要する工程であり、マンションの構造や劣化状況によっては1ヵ月以上かかることもあります。そして、最終的に「仕上げ」と「足場解体」に約1週間を要し、全体としては概ね3ヵ月〜4ヵ月で完了するのが一般的です。
ただし、雨が多い時期や冬場の施工では作業効率が下がるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。小規模であっても、住民との調整や日程の周知はしっかりと行い、無理のない工期設定を心がけることがスムーズな工事進行につながります。
中規模マンション(50〜100戸)の工期目安
中規模マンションの場合、建物の規模が大きくなる分、外壁工事に必要な工程や面積も増加します。そのため、工期の目安は4〜6ヵ月程度が一般的とされています。住戸数が多くなることで足場の設置や塗装面積が広くなり、各工程にかかる時間も自ずと長くなるためです。
まず、「足場の設置」だけでも2〜3週間を要します。これは建物の高さや形状、敷地の状況によっても変動があります。足場が完成すると、「高圧洗浄」「下地補修」「シーリング工事」といった外壁の下処理が始まりますが、この工程で1ヵ月近くかかることも少なくありません。
その後の「外壁塗装」「防水処理」には、気候条件にも左右されますが、通常1.5〜2ヵ月程度の期間を見ておくと安心です。さらに、バルコニーや屋上防水などの追加作業がある場合は、それに応じて全体の工期がさらに延びる可能性もあります。
最後に「足場の解体」や「最終検査」などを行い、全体でおおよそ4ヵ月〜6ヵ月で工事が完了するというのが一般的なスケジュールです。
中規模マンションでは、工事が長期化することで住民からのストレスやクレームも増える傾向があるため、工期の透明性や情報共有が一層重要になります。定期的な掲示や説明会の開催など、丁寧な対応がスムーズな進行のカギを握ります。
大規模マンション(100戸以上)の工期目安
100戸を超えるような大規模マンションの場合、外壁工事の規模も非常に大きくなり、その工期は6ヵ月〜1年以上に及ぶことも珍しくありません。建物の高さ、棟数、形状の複雑さに加え、居住者の数も多いため、工程の調整や住民対応にかかる手間も増加します。
まず、足場の設置だけで1ヵ月近くかかることもあり、建物全体を囲うまでに時間がかかります。特に複数棟がある場合は、棟ごとに工事を分けて行うこともあり、その分工期が延びる要因となります。
続いて行われる高圧洗浄や下地補修、シーリング工事では、外壁の劣化状況によって補修量が大きく変わるため、工程の進み具合に大きな差が生まれやすくなります。例えばタイルの剥離が多い場合や爆裂(コンクリートのひび割れ)が広範囲に及ぶ場合は、補修作業に2〜3ヵ月かかることもあります。
外壁塗装や防水工事にも時間を要し、バルコニーや屋上防水、手すりの交換なども含まれると、作業はさらに長期化します。全体を通して、半年から1年、あるいはそれ以上の期間を見込むケースも少なくありません。
また、大規模マンションの場合は住民の意見が分かれやすく、説明会の回数が増えたり、調整事項が多くなることもあります。そのため、施工前の準備段階からスケジュールに余裕を持ち、各工程の進捗管理と住民対応を同時に進める体制が不可欠です。
外壁工事をスムーズに進めるための準備とポイント
外壁工事の成功は、実際の施工段階だけでなく、事前の「準備」と「段取り」にかかっていると言っても過言ではありません。工事が始まってから慌てて対処するのではなく、あらかじめ万全な準備を整えておくことで、工事期間中のトラブルや遅延を最小限に抑えることができます。
とくに、工事に直接関わらない住民の理解と協力を得ることは、工事のスムーズな進行に欠かせない要素です。また、施工業者の選定や進捗管理体制の整備も重要な準備事項となります。
ここでは、外壁工事を円滑に進めるために押さえておきたい「3つの準備ポイント」について、具体的に解説していきます。
工事前の説明会や周知活動の重要性
マンションの外壁工事を円滑に進めるためには、工事前の「住民説明会」や「情報の周知活動」が非常に重要です。外壁工事は住民の日常生活に直接的な影響を与えるため、何も知らされていないまま工事が始まってしまえば、不信感やクレームにつながりやすくなります。
説明会では、工事の概要やスケジュール、日常生活への影響(例:ベランダ使用制限、窓開閉の制限、騒音発生時間帯など)を具体的に説明する必要があります。住民が「自分たちにどう影響するのか」を事前に知ることで、心構えができ、協力的な姿勢を持ってもらえるようになります。
また、説明会だけでなく、掲示板や各戸配布による「チラシの通知」も効果的です。工事中には工程の進捗や予定変更などが発生するため、こまめな情報更新を通じて住民との信頼関係を維持することが大切です。
さらに、住民からの質問や不安に対応する「相談窓口」や「問い合わせ体制」も整えておくと、トラブル発生時の対応がスムーズになります。
住民の理解と協力があってこそ、外壁工事はスムーズに進行します。工事前から丁寧な説明と透明性のある情報提供を行い、不安の払拭と協力体制の構築をしっかり行いましょう。
信頼できる施工業者の選定
外壁工事をスムーズに進めるうえで、施工業者の選定は最も重要なポイントのひとつです。どれだけ丁寧に計画を立てても、実際に工事を担う業者の対応力や技術力が不足していては、工期の遅延や仕上がりの不備につながりかねません。
信頼できる業者を選ぶには、まず「過去の実績」を確認することが基本です。特に自分たちのマンションと同規模・同構造の修繕経験があるかどうかは、大きな判断材料となります。また、施工中の現場管理体制がしっかりしているか、担当者の対応が丁寧か、工程ごとの品質チェック体制が整っているかも確認すべきポイントです。
見積もりを依頼する際は、単に金額の安さだけでなく、「見積もりの明細が明確かどうか」「仕様がわかりやすく説明されているか」「必要な工程が抜けていないか」なども慎重にチェックしましょう。複数社に相見積もりを取り、比較検討することも有効です。
さらに、管理組合と業者との間で「コミュニケーションが取りやすいかどうか」も重要です。万一のトラブル発生時に、柔軟かつ迅速に対応してくれるかどうかは、工期を守るうえで欠かせない要素です。
信頼性のある業者と良好な関係を築くことで、予定どおりのスケジュールで、安全かつ高品質な外壁工事が実現できます。
工事中の進捗管理と調整
外壁工事を計画通りに進めるためには、工事が始まってからの「進捗管理」と「調整業務」が非常に重要です。計画段階で完璧に見えていたスケジュールでも、実際には天候や人員、資材の供給状況など、さまざまな要因でずれが生じることがあります。これに適切に対応しなければ、工期の延長や品質の低下といったリスクにつながります。
まず基本となるのが、「定例会議」の実施です。施工業者、管理会社、管理組合(理事会)などが定期的に集まり、現場の進捗状況や問題点、今後の予定などを確認し合います。こうした会議を通じて小さなズレを早期に把握し、必要な対策を講じることができます。
また、現場には「工事監理者」や「主任技術者」が配置されていることが多く、彼らが日々の作業状況を記録し、進行に問題がないかを確認します。管理組合側でも進捗状況を把握できるよう、「工事日誌」や「写真報告」などの提出を求めると、透明性の高い工事管理が可能になります。
さらに、住民からの問い合わせやクレーム対応など、想定外の調整が必要になる場面もあります。そうした場合にも、事前に対応フローを決めておくことで、工事を中断せずに進行できるようになります。
進捗管理は、工期短縮のためというだけでなく、最終的な工事品質にも直結する大切な作業です。関係者が一丸となって進行状況を共有し、柔軟かつ迅速に対応することが、外壁工事を成功に導く鍵となります。
まとめ~川崎市のマンションの大規模修繕なら
本記事では、マンションの外壁工事にかかる期間について、戸数別の目安や工期が延びる原因、スムーズに進めるための準備とポイントまで、幅広く解説しました。
マンションの外壁工事は、その規模や建物の状態によって大きく工期が異なります。小規模マンションであれば3〜4ヵ月、中規模では4〜6ヵ月、大規模になると半年以上かかるケースも珍しくありません。さらに、天候や住民対応、計画の精度によっては、予定よりも長引くリスクもあります。
そのため、ただ工期の目安を知るだけでなく、住民への説明や施工業者の選定、進捗管理といった事前・事中の準備が非常に重要になります。情報共有と信頼関係がしっかり築けていれば、たとえトラブルが発生しても柔軟に対応でき、最終的には満足度の高い工事へとつながるでしょう。
外壁工事は単なる建物の補修ではなく、「安心して住み続けるための基盤づくり」です。この記事を参考に、ぜひ貴マンションに合った最適な工事計画を立て、計画的に進めていってください。
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