「うちのマンション、戸数が少ないけど、修繕費ってやっぱり高くなりますか?」
「修繕積立金、今のままで足りますか?あと数年で1回目の大規模修繕なんです…」
マンションの管理組合や理事会の方から、こうしたご相談をよくいただきます。特に20戸、30戸、40戸といった中小規模のマンションにとって、大規模修繕は大きな負担となりがちです。どれくらいの費用が必要か、積立金が足りるのか、一時金が発生するのか…。不安は尽きませんよね。
本記事では、川崎市・横浜市を中心に4,000件以上の大規模修繕実績を持つ「池田塗装」が、これまでの経験をもとに、戸数別(20戸/30戸/40戸)における大規模修繕の費用相場と積立金の目安について、丁寧に解説します。
さらに、スケールメリットの有無や、費用が増減する要因についても詳しくご紹介。
費用の不安を解消し、適切な修繕計画を立てるためのヒントが詰まった内容になっています。
また、本記事は「マンション大規模修繕の費用相場を網羅的に解説した親記事」の補完として、戸数に特化した相場情報を詳しく知りたい方のためのサブ記事です。㎡単価・工事項目別・費用削減方法(補助金活用)といった関連テーマは、別記事にて詳しくご紹介していますので、合わせてご活用ください。
【この記事でわかること】
- 20戸・30戸・40戸のマンションで、それぞれ必要な修繕費の目安
- 戸数が費用にどう影響するのか(スケールメリットと割高リスク)
- 修繕積立金の適正額と、不足時の対応策
- よくある見積もりの落とし穴と注意点
※マンション大規模修繕の費用相場について、国土交通省の調査をもとに解説している『【川崎市】マンション大規模修繕の費用相場とは?国土交通省の調査で徹底解説』をご覧ください。
なぜマンションの大規模修繕は戸数で費用が変わるのか?
「同じ築年数なのに、うちのマンションの見積もり、なんだか高い気がする…」
「隣のマンションはもっと安く済んだと聞いたけど、何が違うんだろう?」
実は、マンションの大規模修繕費用は「戸数の違い」が大きく影響します。
戸数が少ないマンションほど、1戸あたりの負担が高くなる傾向にあるのです。これは単に規模が小さいからではなく、仮設足場・共通工事・設計監理費といった“固定費”の割合が相対的に高くなるからです。
この章では、マンションの修繕費がなぜ戸数で変わるのか、そのメカニズムをわかりやすく解説していきます。修繕積立金の見直しや資金計画を検討する際の、重要な判断材料にもなりますので、ぜひ押さえておきましょう。
【このパートでわかること】
・大規模修繕の主な工事項目とその全体像
・戸数によって費用構造がどう変わるのか
・坪単価・㎡単価での比較のメリットと注意点
大規模修繕の基本構造(対象となる工事項目など)
「大規模修繕って、具体的にはどんな工事をするんですか?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実際にお話を伺っていると、「外壁をちょっと塗り直すだけ」と思われていることもありますが、それだけではありません。大規模修繕とは、マンション全体の機能と美観、そして安全性を維持・向上させるために、共用部分を中心に行われる計画的な工事のことです。
たとえば、以下のような工事項目が含まれます。
- 外壁の塗装や補修(ひび割れや剥がれの修繕)
- 屋上防水工事(雨漏り対策)
- シーリング工事(建物の継ぎ目や隙間を防水材で埋める作業)
- タイル補修(外壁の浮きや割れたタイルの交換)
- 鉄部塗装(階段や手すり、玄関扉など金属部の防錆処理)
- 共用廊下やベランダの床材更新
- 仮設足場工事(作業のための足場設置)
- 設計・監理業務(施工の品質管理や進行管理)
これらは、築10年〜15年ごとに実施されることが一般的です。
また、これらの工事は建物の劣化状況や規模によって費用や内容が大きく変わるため、定期的な建物診断と長期修繕計画の見直しが欠かせません。
スケールメリットの有無と戸数の関係
「戸数が少ないとうちだけ高くなるのは不公平じゃないですか?」
そう感じる方もいらっしゃいますが、実は“スケールメリット”の有無が修繕費に影響を与えることがあります。
スケールメリットとは、一定の固定的な工事費用を効率的に分散できることによって、結果的に1戸あたりの費用が抑えられる傾向のことです。
ただし、ここで注意すべきなのは、戸数が多ければ無条件に1戸あたりが安くなる、というわけではないという点です。戸数が増えれば、当然ながら建物全体の面積や外壁の長さも大きくなり、工事の範囲や仮設足場の規模も比例して拡大します。結果として、工事総額も増えるのが一般的です。
つまり、単純に「固定費を戸数で割れば1戸あたりが安くなる」という話ではありません。
たとえば、仮設足場や設計監理費などには、建物の形状や規模によって左右されにくい“最低限必要な工事”が存在します。こうした部分については、戸数が多ければ相対的にコスト効率が良くなる可能性がある、というのが正確な理解です。
池田塗装が対応している川崎市・横浜市のマンションでも、20戸前後の小規模マンションでは「思ったより費用が高い」と感じられる一方で、30戸〜40戸規模になると、一定の工事を効率よく行えるため、1戸あたりの負担が落ち着くケースも見られます。ただし、建物の状態や工事項目の優先順位によって、総額が抑えられることも十分にあります。
池田塗装では、無駄な工事を省き、必要な箇所だけに絞った現実的なプラン提案を心がけており、戸数に関わらず過剰な出費を防ぐことが可能です。
㎡単価で考えるべき理由と限界
「大規模修繕の費用って、建物の広さで見積もれるものなんですか?」
このようなご質問もよくいただきます。確かに、建物の延床面積や外壁面積などに基づいて「㎡(平方メートル)単価」で費用を算出する方法は、マンションの大規模修繕では一般的に使われる指標の一つです。
たとえば、国土交通省の調査などでも、修繕工事全体の目安として1㎡あたり10,000円〜15,000円前後というデータが示されることがあります。この㎡単価を建物の延床面積にかければ、概算で修繕費の総額が見えてくるという考え方です。
しかし、実際にはこの方法には一定の限界もあります。
なぜなら、㎡単価は“建物の構造・仕様・劣化状況・工事項目の内容”によって大きく変動するため、すべてのマンションに当てはめられるものではないからです。たとえば同じ延床面積のマンションでも、以下のような違いで費用に差が出ます。
- タイル貼り外壁か、モルタル仕上げか
- 屋上防水の仕様がウレタンかシートか
- 階段・廊下などの共用部の面積が多いか少ないか
- バルコニーや庇(ひさし)の数が多く、足場が複雑かどうか
これらの条件次第で、同じ㎡単価を用いていても、実際の工事費には数百万円の差が出ることもあるのです。
さらに、仮設足場や設計管理費などの“面積とは直接関係のないコスト”も含まれるため、㎡単価だけでは「戸当たり負担額のイメージ」とは結びつきにくいケースもあります。
このように、㎡単価は「大まかな目安」として参考にする分には有効ですが、具体的な見積もりや費用の妥当性を判断する際には、建物の特徴や工事の中身を加味した精査が必要不可欠です。
【マンションの大規模修繕】戸数別に見る費用相場|20戸・30戸・40戸の比較
「20戸の小規模マンションですが、修繕費はいくら見ておけば安心ですか?」
「うちは40戸あるけど、やっぱりその分費用は高くなりますよね?」
こうしたご相談を受ける中で多いのが、「結局いくらかかるのか分からない」という不安です。特に初めての大規模修繕を迎える管理組合にとっては、戸数ごとの相場感や、戸当たりの負担額の目安を知っておくことが、安心した資金計画を立てる第一歩になります。
このパートでは、20戸、30戸、40戸という代表的な中小規模マンションを例に、一般的な修繕費の目安と、戸数ごとに直面しやすい課題をわかりやすく整理します。
また、国土交通省が示す「戸当たり100万円前後」という統計についても、その正しい捉え方を踏まえて解説していきます。
【このパートでわかること】
- 20戸・30戸・40戸のマンションにおける一般的な修繕費の目安
- 「戸当たり費用」の考え方と、その数字にとらわれすぎない判断軸
- 修繕費が増減する主な要因と、戸数による影響
- 小規模マンションが陥りやすい資金計画の落とし穴
20戸マンションの費用相場と傾向(500万〜800万円)
10〜20戸程度の小規模マンションでは、一般的に外壁塗装・屋根または屋上防水・共用部の鉄部塗装・シーリング工事・タイル補修といった基本的な大規模修繕を実施する場合、総工費は500万〜800万円程度がひとつの目安です。
戸当たりにすると、約25万〜40万円前後の費用感になります。
ただし、小規模マンションは「工事項目を減らせば費用が抑えられる」と考えがちですが、仮設足場や設計監理費などの“固定費”の影響が大きく、1戸あたりの負担が重くなりやすいという特徴があります。
また、修繕積立金が不足しているケースも多く、一時金の徴収や借入が必要になる場合もあるため、早めの資金計画の見直しが重要です。
30戸マンションの費用相場と傾向(700万〜1,000万円)
30戸前後のマンションになると、ある程度の規模感が出てきて、仮設工事や設計費などの固定費が戸数で分散されやすくなるため、1戸あたりの負担感はやや軽くなる傾向があります。
この規模での大規模修繕では、700万〜1,000万円程度が相場とされており、1戸あたりにすると23万〜33万円前後です。
とはいえ、建物が大きくなれば当然ながら外壁の面積も広くなり、工事項目のボリュームも増えるため、総工費が高くなることも。また、共用部の仕様(エレベーターの有無、防犯設備の有無など)によっても大きく変動します。
戸数が増えることでコスト効率は上がりますが、建物構造の複雑化により、施工難易度が上がるケースもある点には注意が必要です。
40戸マンションの費用相場と傾向(900万〜1,300万円)
40戸規模のマンションでは、一定のスケールメリットを享受しつつも、建物規模がさらに大きくなる分、施工範囲・費用ともに増加する傾向があります。
このクラスでは、900万〜1,300万円程度の総工費が想定されるケースが多く、戸当たり換算では約22万〜32万円前後が一般的な目安となります。
一見すると30戸と近い費用感に見えますが、工事内容の選定や建物の維持管理状態によっては1,500万円を超えることもあり得るため、慎重な見積もりの確認が欠かせません。
「戸当たり100万円」は目安?それとも基準?国土交通省の統計
国土交通省の統計では、「マンションの大規模修繕1回あたりの費用は戸当たり約100万円前後」というデータがよく知られています。
これは、全国のマンションを対象にした平均値であり、建物の規模・仕様・劣化状態・修繕内容のすべてを含んだ数字です。したがって、「自分たちのマンションでも必ずその金額になる」という意味ではありません。
実際、10~40戸規模のマンションでは、
・外壁塗装・防水などの基本的な修繕だけなら戸当たり30万~50万円前後
・設備更新や劣化補修が必要な場合には70万~100万円を超えるケース
と、戸当たり費用の幅はかなり大きく変動します。
「100万円」という数字にとらわれず、今の建物の状態・修繕内容・予算に合わせた柔軟な判断をすることが、結果的に無理のない修繕につながります。
修繕積立金の適正額と資金計画の立て方
「今の積立金で本当に足りるのか、不安なんです…」
「大規模修繕の見積もりが出たら、思った以上の金額で驚いてしまって…」
こうした声は、川崎市・横浜市のマンション管理組合の方々からもよく聞かれるものです。
特に中小規模マンションでは、「戸当たりの積立額が少ない」「築年数の割に資金が貯まっていない」という状況も珍しくありません。
この章では、修繕積立金の目安額や、実際にどの程度の資金が必要になるのかをわかりやすく解説します。さらに、もし不足した場合の対処法や、長期的な資金計画の立て方についても紹介し、無理のない形で修繕を実現するための視点をご提供します。
【このパートでわかること】
・修繕積立金の一般的な目安(戸数別・築年数別)
・資金が不足したときの対応策(借入・一時金・補助金)
・長期修繕計画との連動と見直しポイント
積立金目安と戸数ごとの注意点
「積立金は毎月払っているけど、それって十分なんでしょうか?」
このようなご不安は、大規模修繕が近づくにつれて多くの管理組合で持ち上がります。
特に中小規模のマンションでは、「これまで何となく積み立ててきたけど、具体的にいくら必要なのか分からない」という状態が多く見られます。
■ 積立金の目安(国交省のガイドライン)
国土交通省が示すガイドラインでは、マンションの修繕積立金は月額で1戸あたり10,000円〜20,000円程度が望ましいとされています。これは、将来的に外壁修繕・防水工事・設備更新なども含めて複数回の大規模修繕を想定した額であり、短期的な予算だけでなく、長期計画に基づいて設定されています。
■ 戸数ごとに起こりやすい問題
20戸未満の小規模マンションでは、積立金が低めに設定されているケースが多く、修繕時に一時金徴収や借入が必要になるリスクが高まります。
30~40戸規模のマンションでも、築年数の浅い段階で設定された積立金がそのまま据え置かれていると、工事金額との乖離が大きくなってしまうことがあります。
■ 積立金不足が招くリスク
「不足分を徴収すればいい」と軽く考えていると、
・管理組合内で合意が取れず工事が延期される
・一時金の負担が重く、住民間のトラブルに発展する
・結果的に建物の劣化が進行し、修繕費がさらに高くなる
といった負の連鎖が起きてしまう可能性もあります。
そのため、積立金の適正額は定期的に見直すべき項目です。
資金が足りない場合の対処法
「積立金が足りないとわかったけど、今からどうすればいいの?」
このように、修繕計画を立てる段階で資金不足が発覚するケースは少なくありません。しかし、焦る必要はありません。実際に、川崎市や横浜市でも同様の状況から、しっかりと対処して大規模修繕を実現しているマンションが多く存在します。
以下では、現実的かつ無理のない資金補填の方法を紹介します。
■ 1. 一時金徴収(住民からの追加負担)
もっともオーソドックスな方法が、不足額を各戸から一時的に徴収することです。
ただし、一時金は負担が大きくなりやすく、居住者の合意形成に時間がかかる場合もあるため、事前の説明と調整が不可欠です。
■ 2. 借入(金融機関からの融資)
最近では、マンション管理組合向けの修繕工事用ローンを扱う金融機関も増えており、
・金利が比較的低め
・長期分割返済が可能
・返済を修繕積立金に組み込める
といったメリットがあります。
特に、小規模マンションや高齢者が多い管理組合などでは、合意が得やすい柔軟な資金調達法として注目されています。
■ 3. 補助金・助成金の活用
自治体によっては、外壁修繕や防水工事、耐震改修などに対して補助金制度が用意されていることもあります。一定条件を満たせば申請できる助成制度が存在しており、これを活用することで自己負担を軽減できる場合もあります。
制度の内容や受付期間は年度によって異なるため、工事の検討段階で早めに情報を確認しておくことが重要です。
補助金について詳しく知りたい方は、関連記事「【マンション大規模修繕】費用を安くする方法」もあわせてご覧ください。
資金が足りないからといって、無理に全体を先延ばしにしたり、工事項目を削りすぎてしまうと、後に追加工事や費用の再発生につながるリスクもあるため、慎重にバランスを取りながら検討することが大切です。
長期修繕計画との整合性を見直す
「今の積立金でどうにかやりくりできないかな…」
「大きな修繕をするたびに毎回不安になるのは避けたい…」
このような不安を解消するためには、日々の積立と実際の工事費の“ずれ”を、できるだけ小さくしておくことが大切です。
その鍵となるのが、「長期修繕計画」の見直しと精度の向上です。
■ 長期修繕計画とは?
長期修繕計画とは、今後20年~30年にわたる修繕項目とその費用をあらかじめ想定し、資金の収支バランスを保つためのシミュレーション表です。国土交通省のガイドラインでも、管理組合にはこの計画の作成と定期的な見直しが推奨されています。
■ 実際にはズレが生じているケースも
・実際の劣化スピードが予想より早かった
・物価や資材費の高騰で、見積もりが当初の想定より大幅に上昇した
・初回の修繕時に、積立額が低すぎて計画が追いついていない
こうしたケースでは、計画そのものの内容や積立額の見直しが必要になります。
■ 見直しのタイミングと方法
・大規模修繕の前後
・管理会社変更時
・建物診断結果に大きな劣化が見られたとき
これらのタイミングで、第三者の専門家やコンサルタントのサポートを受けながら、実際の建物状況に即したリアルな計画に更新することが重要です。
長期修繕計画が現実に即していなければ、いざというときに資金が不足し、住民の負担が一気に跳ね上がるリスクがあります。逆に、計画をしっかりと見直しておけば、必要な時に、必要なだけの積立で済むため、長期的に見ても非常に安心です。
まとめ~川崎市のマンションの大規模修繕なら
本記事では、マンションの大規模修繕における戸数別(20戸・30戸・40戸)の費用相場や積立金の目安、資金計画の立て方、コストを左右する要因や業者選びのポイントまで、幅広くお伝えしてきました。
大規模修繕は、「とりあえずやればいい」というものではなく、計画的に・無理なく・納得できる形で進めることが、住民全体の満足度と建物の長寿命化につながります。
特に中小規模のマンションでは、1戸あたりの負担が重くなりがちなため、費用の把握と早めの資金準備が何よりも重要です。
また、「戸当たり100万円」という統計にとらわれることなく、自分たちの建物の状況に合った判断をすることが、後悔のない修繕を実現する第一歩です。
マンションの大規模修繕工事のことなら、神奈川県川崎市の地元に20年以上密着し、4,000件超の豊富な実績を持っている大規模修繕専門店『アパマン修繕プロ』にご相談ください。
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