「築15年のマンションだけど、もう大規模修繕の時期なのか?」「まだ必要ないかもしれない…」
そんな不安や迷いを抱えていませんか?
マンションの大規模修繕は、資産価値や安全性に大きく関わる重要な工事です。
しかし、適切な“時期”を見極めるのは意外と難しいもの。判断を誤れば、余計な費用が発生したり、劣化が進んで大掛かりな修繕が必要になったりすることもあります。
本記事では、マンションの大規模修繕における「時期」に焦点を当て、
築年数や劣化症状から見る目安、時期判断を誤った場合のリスク、そして適切な時期に行うための準備方法まで、実践的に解説します。
【この記事でわかること】
- 大規模修繕の時期がなぜ重要なのか
- 築年数や劣化症状からの判断基準
- 時期を逃すと起こるリスクと影響
- 管理組合が行うべき判断と準備の流れ
目次
大規模修繕はいつやるべき?まず知っておきたい基本

「うちは築15年を超えているけど、まだ見た目はきれいだし修繕は不要かも?」
そう考える方も多いかもしれません。
しかし、大規模修繕は“見た目”だけで判断してしまうと、大きなトラブルに発展する恐れがあります。
このパートでは、大規模修繕の目的や対象範囲、時期を見極めることの重要性について、基本的な知識を確認していきます。
【このパートでわかること】
- 大規模修繕の意味と目的
- 修繕時期を誤ることで発生するリスク
- 築年数や外観だけでは判断できない理由
「うちはまだ大丈夫?」マンション住民のよくある悩み
「築15年だけど、まだ見た目はきれいだから、修繕は先でも大丈夫?」
「外壁に目立ったヒビもないし、まだ早い気がするな。」
このような声は、多くのマンション住民や管理組合の間でよく聞かれます。実際に、建物の外観がきれいに見えていても、「大規模修繕の時期ではない」とは限りません。
大規模修繕の目的は、見た目の改善だけではありません。本来は、マンション全体の安全性や機能を保つために必要な処置です。たとえば、防水層の劣化や鉄部の腐食、外壁の浮きなどは、表面からは見えないことも多く、目に見えた時にはすでに深刻化しているケースもあります。
だからこそ、目に見える劣化がなくても「計画的な修繕」が求められるのです。
「まだ大丈夫」と感じる時こそ、修繕の準備を始めるタイミングといえます。
修繕の時期を間違えると、どんなリスクがある?
「できれば修繕を先延ばしして、費用を抑えたい」──そう思うのは自然なことです。しかし、適切な時期を逃した修繕は、かえって費用や手間が増えるリスクをはらんでいます。
たとえば、外壁のひび割れ(クラック)を放置してしまうと、そこから雨水が浸入し、内部の鉄筋が錆びてコンクリートが膨張・破損する「爆裂」と呼ばれる現象が起きることがあります。この状態になると、簡単な補修では済まず、大がかりな工事が必要になり、修繕費用も一気に膨らみます。
また、防水機能が劣化したまま放置すれば、雨漏りが発生し、共用部や住戸内にまで被害が及ぶこともあります。被害が広がれば、居住者からの苦情や資産価値の低下につながる恐れもあるでしょう。
さらに、劣化が進みすぎた場合には、住民の安全を守るために“緊急工事”が必要となるケースもあり、その際には十分な計画や準備ができないまま、多額の支出を強いられることもあります。
このように、修繕のタイミングを誤ることで起こるリスクは、金銭的負担だけにとどまりません。「適切な時期」に対応することこそが、最も合理的な選択だといえるのです。
築年数や外観だけでは判断できない理由
「築年数がまだ20年未満だから修繕は不要だろう」「見た目がきれいだから問題ないはず」
そう思ってしまうのは無理もありません。ですが、大規模修繕の必要性は築年数や外観だけでは判断できないのが現実です。
マンションの劣化は、立地条件や使用状況、管理の仕方によって進行のスピードが大きく異なります。たとえば、沿岸地域では塩害の影響で鉄部が早く腐食することがありますし、日照が強く雨風の影響を受けやすい建物では、外壁や防水層の劣化が早まることもあります。
また、定期的に点検や軽微な修繕を実施しているマンションと、何もしてこなかったマンションでは、築年数が同じでも建物の状態に大きな差が生まれます。
外観だけで判断してしまうと、内部で進行している深刻な劣化を見逃すリスクがあります。そのため、修繕の時期を見極めるには、建物の実態を把握する“建物診断”などの客観的な調査が重要になります。
本質的に大切なのは、「築何年か」ではなく、「今の状態がどうか」という視点です。正確な判断のためにも、定期的な診断とプロの目による評価を取り入れていくことが、将来のトラブルを防ぐ鍵となります。
築年数と劣化症状から判断する大規模修繕の目安

「結局、何年目で修繕すればいいの?」「どんな症状が出たら考えるべき?」
このような疑問に答えるために、まずは築年数ごとの一般的な目安と、劣化のサインについて知ることが大切です。
大規模修繕は“年数”だけで決めるものではありませんが、一定の基準や兆候を押さえておくことで、計画的に準備を進めることができます。
このパートでは、国のガイドラインや築年数別の注意点、そして修繕を検討すべき劣化の兆候について解説します。
【このパートでわかること】
- 修繕周期の一般的な目安と公的ガイドライン
- 築年数ごとに注意すべき劣化箇所やポイント
- 目に見える劣化症状から判断する方法
修繕の平均的な周期と行政のガイドライン
マンションの大規模修繕は、一般的に「およそ12年周期」が目安とされています。これは、国土交通省が発行している「長期修繕計画作成ガイドライン」に基づいた考え方で、建物の劣化状況や機能維持を前提にした推奨スケジュールです。
たとえば、外壁の塗装や防水工事といった主要な修繕は、10〜15年程度で再施工が必要になるケースが多く見られます。
また、鉄部の塗装や設備関係の補修もこの時期にまとめて実施することで、全体の維持コストを抑える効果があります。
もちろん、これはあくまで「目安」であり、実際には建物の構造・立地・使用状況によって最適な時期は前後します。とはいえ、この12〜15年という周期を基準に、長期修繕計画を立てておくことが、管理組合にとっても重要な備えとなります。
定期的な点検を通じて実態を把握し、このガイドラインと照らし合わせながら、柔軟に判断することが大切です。
築年数別に見る、主な修繕のポイント
マンションの修繕が必要となる部位や内容は、築年数によって大きく異なります。ここでは、一般的な築年数ごとに注意すべきポイントを整理してみましょう。
- 築10〜15年頃
最初の大規模修繕が検討される時期です。
主な対象は、外壁の塗装、防水シートの張り替え、鉄部の塗装など。
外観の劣化だけでなく、建物の防水性能や構造保護を目的にしたメンテナンスが中心となります。 - 築20〜25年頃
2回目の大規模修繕が視野に入るタイミングです。
この時期には、配管設備や給排水系統など、見えにくい部分の老朽化も進みやすくなります。
外装に加えて、設備面のチェックや部分的な交換も検討すべき段階です。 - 築30年以降
建物全体の劣化が本格化し、設備の更新・交換が必要になるケースが多くなります。エレベーター、給水ポンプ、照明設備といった共用設備の寿命が近づくほか、コンクリートの構造的な補修も重要になります。
築年数が進むにつれて、修繕の範囲も広がり、計画性がより一層求められます。
あらかじめ築年数に応じた修繕内容を把握しておくことで、予算の確保や合意形成もスムーズになります。
劣化症状から時期を見極めるには?
「築年数だけではなく、実際の劣化状態を見て判断したい」──そう考える管理組合や住民も少なくありません。修繕の必要性を見極めるうえで、具体的な“劣化のサイン”を知っておくことは非常に重要です。
たとえば、外壁に見られる「ひび割れ(クラック)」は、構造に影響を与える可能性があります。特に幅が0.3mm以上になると、雨水の浸入が懸念され、早期の対応が必要です。
また、「塗装の色あせ」や「チョーキング現象(壁を手でこすると白い粉が付く)」は、塗膜が劣化して防水性が低下している証拠です。放置すると、下地が水分を含み、劣化のスピードが加速してしまいます。
他にも、ベランダや屋上の「防水層のひび割れ」や「ふくれ」、鉄部の「サビの発生」、目地の「シーリング(コーキング)のひび割れ」などは、修繕のタイミングを示す代表的な症状です。
これらの症状は、素人目では軽視されがちですが、建物全体に大きな影響を及ぼす前兆となることもあります。そのため、日常点検で異変に気づいた場合は、早めに専門家に相談し、建物診断を行うことが、最適な修繕時期を逃さないためのポイントです。
マンション大規模修繕でよくある質問
「築年数が浅くても修繕が必要なことってあるの?」
「計画には入っていないけど、一部で劣化が進んでいる気がする…どうすべき?」
こうした声は、実際の現場でもよく耳にします。
実は、築年数が10年程度でも、立地条件や施工当時の材料・工法によっては、早期に劣化が進む場合があります。とくに、防水やコーキング材は日差しや雨風の影響を強く受けやすく、予定よりも早く性能が低下することがあるのです。
また、長期修繕計画で次の修繕時期がまだ先になっていても、一部に明らかな劣化症状がある場合は、部分的な補修や計画の見直しが必要になることもあります。
「予定と違うタイミングで修繕が必要になることは珍しくない」という前提で、柔軟に対応できる体制を整えておくことが大切です。そのためには、定期的な建物診断や専門家のアドバイスを取り入れ、現状を正しく把握する仕組みづくりが欠かせません。
適切な時期に大規模修繕を行うためにやるべきこと

「やるべき時期はわかったけど、じゃあどう準備すればいい?」
修繕のタイミングを見極めたあとに重要なのが、実際に行動へと移すための準備と判断です。
特にマンション管理組合では、住民との合意形成や資金計画、業者選定など、多くのプロセスを経る必要があります。
このパートでは、適切な修繕時期にスムーズに対応するために、管理組合が知っておくべき実践的なポイントを紹介します。
【このパートでわかること】
- 修繕時期の判断を助ける「長期修繕計画」の活用法
- 建物診断を取り入れるメリット
- 管理組合としての意思決定と合意形成の流れ
- よくある修繕タイミングの悩みと対応策
長期修繕計画に基づいた時期のコントロール
マンションの大規模修繕は、いきなり実施するものではありません。多くの管理組合では、あらかじめ「長期修繕計画」を策定し、それに基づいて修繕の時期を調整しています。
長期修繕計画とは、建物の築年数や部位ごとの耐用年数をもとに、将来必要になる修繕工事をスケジュール化したものです。この計画があることで、資金の積立や準備が計画的に進められ、住民への説明や合意形成もしやすくなります。
ただし、実際の建物の劣化状況や周囲の環境は計画通りに進まないこともあります。たとえば、予想よりも早く劣化が進んだ場合は、計画を見直して早めに修繕する必要がありますし、逆に問題が少なければ時期を少し遅らせるという柔軟な対応も可能です。
つまり、長期修繕計画は“固定されたスケジュール”ではなく、“現状に応じて調整できる目安”として活用するのが理想的です。定期的に見直しを行い、必要に応じてプロの診断を取り入れながら、適切なタイミングを見極めることが重要です。
第三者診断のすすめとメリット
「自分たちで判断するには不安がある」「本当に今が修繕すべき時期なのか、専門家の意見がほしい」
そう感じたときに頼れるのが、第三者による建物診断です。
建物診断とは、建築士や診断専門会社などの第三者が、建物の外壁、防水、鉄部、設備などを調査し、劣化の状態や修繕の必要性を客観的に評価するものです。
この診断を行うことで、「どの部分にどれだけ劣化が進んでいるか」「修繕の優先順位はどこか」といった、管理組合だけでは把握しきれない情報が明らかになります。
また、第三者診断の結果をもとにすれば、住民への説明にも説得力が増し、合意形成がスムーズに進みやすくなるというメリットもあります。
さらに、施工業者とは利害関係のない立場からの診断であれば、不要な工事や過剰な見積もりを避けることにもつながります。将来的なコストの最適化という点でも、第三者診断は有効な手段です。
修繕の判断に迷ったときこそ、外部の専門家の目を借りることが、適切な時期と内容を決めるための大きな助けになります。
管理組合がとるべきステップとは
大規模修繕は、管理組合だけで完結するものではありません。建物の維持管理に関わる多くの住民と合意を形成しながら進めていくため、段取りと準備がとても重要です。
まず必要なのは、建物の状態を把握すること。
長期修繕計画や建物診断の結果を確認し、次の修繕時期と内容の大まかな方針を決めます。
次に行うべきは、住民への情報共有と説明です。
「なぜ今修繕が必要なのか」「どの範囲を行う予定か」「費用はどれくらいかかるのか」など、具体的な情報を丁寧に伝えることで、住民の不安や疑問を和らげ、合意形成が進みやすくなります。
その後は、修繕設計や見積もりの取得、業者選定、総会での決議へと進んでいきます。特に見積もりについては、複数社からの比較を行うことで、適正な価格での発注が可能になります。
すべてを管理組合だけで抱え込まず、コンサルタントや専門家の力を借りながら進めることも、スムーズな実行へのポイントです。
「合意形成 → 診断 → 計画立案 → 見積もり → 決議」
この流れを意識することで、適切な時期に無理なく修繕を進める体制を整えることができます。
マンション大規模修繕の「時期」に関するよくある質問
「修繕積立金が足りないけど、工事は延期できる?」
「社会情勢の変化で予定通り進めるのが難しい…どうすれば?」
修繕の“時期”を考えるうえで、現実的な悩みを抱える管理組合も多くあります。
よくあるのが、積立金不足による延期の検討です。確かに、予算が足りない状態では無理に工事を進めるべきではありません。
ただし、劣化の進行が明らかで、修繕を先延ばしすることで被害が拡大する恐れがある場合には、優先順位を見直した部分的な実施や、金融機関からの借入れによる対応なども視野に入れる必要があります。
また、感染症の流行や物価高騰など、社会的な影響で修繕のタイミングに迷いが生じるケースもあります。
こうした場合も、焦って実行するよりは、建物診断の再実施や見積もりの再取得を行いながら、状況に応じた柔軟な判断を下すことが重要です。
大切なのは、「予定だからやる」のではなく、「現状を見て最善のタイミングで実施する」こと。住民の生活と建物の保全、どちらもバランスよく考慮した判断が求められます。
まとめ~川崎市のマンションの大規模修繕なら
本記事では、マンションの大規模修繕における「時期」について、基礎知識から判断材料、準備のステップまで詳しくお伝えしました。
大規模修繕のタイミングは、築年数だけでなく、実際の劣化状況や建物の管理体制、住民の合意形成にも左右されます。見た目がきれいでも内部で劣化が進んでいるケースもあり、判断を誤れば、将来的に大きな費用負担やトラブルにつながる可能性があります。
適切な時期に修繕を行うためには、長期修繕計画と現状の把握を両立させながら、柔軟にスケジュールを見直す視点が欠かせません。建物の価値を守り、安全・快適な暮らしを維持するためにも、「時期の見極め」は重要な責任のひとつです。
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